え、乗客私だけ…? 日本一短い非電化私鉄に乗ってみた 運賃安いし大丈夫?

紀州鉄道の中心は紀伊御坊駅

 結局、誰も来ないまま列車は出発。出発してすぐ、JR紀勢本線と並走します。「この辺りには以前、腕木式信号機があったんだ」と運転士。

 紀州鉄道線には起点と終点を含め5駅あり、こまめに停車と発車を繰り返します。最初の停車駅である学問駅までは1.5kmですが、1941(昭和16)年までは、途中の0.8km地点に財部(たから)駅がありました。

 学門駅は1面1線の無人駅ですが、やや変わった経歴を持ちます。1931年に中学校駅として開業するも1941年に廃止。そして1979(昭和54)年、中学校駅跡地に「学門駅」が設けられたのです。

 駅前には日高高等学校と附属中学校の裏門があります。なお紀伊御坊駅では、駅名が学問に通じるとして、入場券などが学業御守として販売されているそうです。駅のホームにも学門地蔵があったので、筆者も列車内から拝みました。

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ガランとした車内(2024年7月、安藤昌季撮影)。

 誰も乗車しないまま、列車は出発。草ぼうぼうの線路ですが、時折コンクート枕木が見受けられました。

 わずか300m進むと、紀州鉄道の中心駅である紀伊御坊駅です。かつては交換設備もある相対式ホーム2面2線でしたが、現在は1面1線が使われていません。側線には、紀州鉄道唯一のクロスシート車で、信楽高原鐵道から2016(平成28)年に導入されたKR301形と、休車中のレールバス・キテツ1形が止められていました。キテツ1形は元・北条鉄道の車両で、日本国内で最後の営業用2軸レールバスでした。なお、有田川町鉄道公園で同型車が動態保存されています。

 紀伊御坊駅でも乗車はなく、乗客は筆者だけ。沿線には人家が多く、水路も多く見られました。

まるで民家の軒先 レトロな西御坊駅(写真で見る)

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