『トップガン マーヴェリック』の元ネタ!? いまだ現役「トムキャット」戦闘機 なぜ“悪の枢軸”で飛び続ける?

中東イランになぜ現役のF-14があるのか

 同国はF-14唯一の輸出先で、彼の地では空母艦載機としてではなく陸上の飛行場から発着する空軍機として現役です。ただ、アメリカはイランを「悪の枢軸」と呼んで敵対視する極めて険悪な関係であったはず。そのような国がなぜF-14を持っているのかというと、いまから50年ほど前、「イラン帝国」と呼ばれていたころは親米的な政策を堅持していたからにほかなりません。

 1970年代、イラン空軍の次期主力戦闘機の主要候補に挙がっていたのはF-14「トムキャット」とF-15「イーグル」でした。そのようななか、帝国の支配者であったシャーハンシャー(「諸王の王」、すなわち「皇帝」を意味する称号)、モハンマド・レザー・パフラヴィー、いわゆるパーレビ国王は自ら渡米し両機を調査、最終的にはレーダーやミサイルの性能に優れたF-14を勝者として、採用を決めます。

 なお、モハンマド・レザー・パフラヴィー帝は大変な戦闘機マニアで知られており「F-14は彼の好みだったので勝者となった」という面白い俗説もあります。

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アメリカ海軍のF-14A「トムキャット」戦闘機。2006年にアメリカ海軍から全機退役している(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 こうして輸出が決まったF-14でしたが、イランに79機が引き渡された1979(昭和54)年にイラン革命が発生、モハンマド・レザー・パフラヴィー帝とその家族はアメリカへ事実上の亡命を余儀なくされたのです。

 帝政が崩壊したことで、新たにイラン共和国が成立しますが、前出の皇帝一家の亡命に端を発する「在イランアメリカ大使館人質事件」が発生したことで、イランとアメリカの関係は決定的に悪化。その結果、F-14はアメリカからの技術的なサポートが一切受けられなくなり、部品の供給がストップすることになりました。

 困ったイランはF-14を持て余したものの、のちに部品やミサイルの独自国産化や技術開発を進め、また独自に改良するなどして何とかモノにすることに成功。その結果、2024年現在でも空軍で運用し続けているのです。

【全身真っ黒!】これまた異端のF-14「トムキャット」です(写真)

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