なぜ「世界最強の空軍」は次世代戦闘機を開発しないのでしょうか 危機感なさすぎでは?
NGAD計画が動き始めたら…
実際、アメリカ空軍は、F-35というステルス性や情報処理能力などを高いレベルで統合した高性能な戦闘機をすでに多数保有しており、当面はF-35の性能向上や、新たな兵器システムとの統合を進めることで、十分な戦力維持が可能だと考えているのかもしれません。さらに現在開発中の次世代爆撃機B-21「レイダー」にNGADのミッションを部分的に担わせるという案もあるようです。
もっと言うと、アメリカ空軍は新しく開発される日欧のGCAPやFCASなど他の国の戦闘機が、当面はF-35以上の性能を持つとは思っていない可能性もあります。さらに中国ではJ-20やJ-35、ロシアではSu-57などといった新戦闘機の開発を進めてはいますが、これらもF-22やF-35相当の第5世代戦闘機に留まると考えられます。
今後、アメリカ空軍がどのような判断を下すのか、注目が集まります。もし、アメリカ空軍がNGAD計画を本格的に推進すると決断すれば、世界中の航空・軍事業界に大きな影響を与えることになるでしょう。一方で、アメリカ空軍がF-22やF-35の性能向上に注力し、新たな戦闘機の開発を遅らせるという可能性も考えられます。
いずれにしても、アメリカ空軍の動向が、今後の戦闘機開発のトレンドを大きく左右する重要な要素となるのは間違いないでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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