鉄道車両の前面に衝突対策クッション 進む標準装備化
近年はシカなどの野生動物が増加傾向にあるとされ、山間部を走る鉄道路線ではその衝突対策が大きな問題です。そうしたなか、JR東海はあるシカ対策装置の標準装備を進めています。
くり返されるシカとの知恵比べ
山間部を走る鉄道路線は列車とシカとの衝突事故に頭を悩まされており、JR各社は毎年「鹿対策担当者会議」を開き情報交換を行っています。近年は捕獲制限やハンターの減少により野生動物が増加していると考えられ、例えばJR東海管内では2012年度、年間635件もシカとの衝突が発生。2005年度と比較すると倍以上の数字になっています。シカは列車から警笛やライトで威嚇しても、習性的に線路からなかなか逃げないことも難しい点です。
このためJRは様々なシカとの衝突対策を行っており、その一例を以下に挙げます。
(1)シカ除けとして、線路にオオカミの尿やライオンの糞、ナフタリンを散布する。
(2)シカ除けとして、線路脇に固形石鹸や芳香剤を置く。
(3)シカは発泡スチロールのこすれる音を嫌がるため、線路沿いに発泡スチロールを吊す。
(4)釘を打ち付けた進入防止マットを踏切に設置。
(5)線路に柵を設ける。
(6)徐行運転を行う。
しかしそれぞれ、次のような結果になっています。
(1)雨で流されてしまう、シカが慣れてしまうなど効果は一時的。
(2)カラスに持ち去られてしまった。
(3)維持管理に手間がかかるほか、シカも慣れてしまった。
(4)踏み越えられてしまった
(5)全区間に柵を設けるのは難しいうえ、飛び越えられることも。
(6)ダイヤに影響が出る。
このほか線路脇にLEDの点滅で威嚇する装置を設ける、スピーカーや笛からシカが嫌う音を出すなどの対策の開発も行われていますが、現在のところ問題解決の決定打とはなっていません。
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