鉄道車両の前面に衝突対策クッション 進む標準装備化

近年はシカなどの野生動物が増加傾向にあるとされ、山間部を走る鉄道路線ではその衝突対策が大きな問題です。そうしたなか、JR東海はあるシカ対策装置の標準装備を進めています。

衝撃緩和装置の効果とアメリカの歴史

 この衝撃緩和装置は、2012年から紀伊半島の東海岸を行く特急「ワイドビュー南紀」(名古屋~紀伊勝浦)の車両へ試験的に設置され、効果の検証が行われました。その結果は以下の通りです。

・設置車両は非設置車両より、運転再開までに要する時間が約3分短い。

・設置車両は非設置車両より、シカを線路外へ押しのけられる割合が13%高い。

・設置車両は30分以上の遅延が1件のみ。非設置車両は6件。

 以上のように、衝撃緩和装置は一定の効果を発揮。現在製造が進行中で、2014年12月にデビュー予定のキハ25形(2次車)という車両では、この装置が標準装備になりました。キハ25形(2次車)は岐阜県の高山本線や太多線、三重県の紀勢本線や参宮線で普通列車などに使用されます。

Large 20140920 01
1880(明治13)年に製造され、北海道開発に活躍したアメリカ製蒸気機関車「弁慶号」。鉄道博物館(さいたま市)に収蔵。

 ちなみに古い蒸気機関車などで、前面下部に網状の部品を取り付けた車両があります。それはウシを極力傷つけることなく左右に押しのけるため開発された「カウキャッチャー」と呼ばれるもので、19世紀のアメリカ西部で多く使われました。これを装備した蒸気機関車は西部劇におけるシンボルのひとつです。

 JR東海の衝撃緩和装置はそうした鉄道と動物との歴史の原点に回帰し、21世紀に復活したカウキャッチャーと言えるのかもしれません。

【了】

Writer:

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  4. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  5. ウクライナ軍の「1000機の無人機」がモスクワの製油所を襲撃!“タンクが吹き飛ぶ瞬間”を捉えた映像を大統領が公開 今後の影響は?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス