「超快速」は北陸新幹線への刺客? 諦めない北越急行

仇敵に一矢報いる「超快速列車」

 続いて、北越急行経由で東京~越後湯沢~直江津間を移動することを考えてみます。

 現在、上越新幹線は東京~越後湯沢間を1時間10分から1時間28分で結んでいます。そして越後湯沢~直江津間は北越急行の普通列車で、列車にもよりますが1時間30分前後です。越後湯沢駅での乗り換え時間を8分とすると、東京~直江津間は合計でおよそ2時間48分から3時間6分程度となります。

 ここで越後湯沢~直江津間を1時間で結ぶ「超快速列車」があったら、どうなるでしょうか。

 北越急行経由の所要時間は、およそ2時間18分から2時間36分に大きく減少。これに対し、北陸新幹線経由の所要時間はおよそ2時間13分から2時間23分程度。つまり「超快速列車」を運転することによって、北越急行が北陸新幹線に対抗できる芽が出てくるのです。

 しかも、東京~直江津間の運賃・料金は北陸新幹線経由の場合、東京~上越妙高間が9280円、上越妙高~直江津間が240円の合計9520円です。ですが北越急行経由の場合は東京~越後湯沢間が6670円、越後湯沢~直江津間が1380円の合計8050円と、1470円も安くなっています(普通車指定席・通常期)。

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直江津駅は信越本線と北陸本線が交差する交通の要衝。直江津港は国の重要港湾に指定されている(2012年1月、恵 知仁撮影)。

 このように北越急行が計画している「超快速列車」は、同鉄道の経営を悪化させる北陸新幹線から乗客を獲得し、同鉄道の経営状況を改善するため送り込まれる「刺客」と考えることができるのです。

 上越市は973.6平方キロメートルと東京23区の約1.5倍という広さがあり、上越妙高駅のほうが便利な場合も多いと思われます。とはいえ直江津駅のほうが便利である、多少でも安いほうが良いという場合が存在するのも確かです。「超快速列車」がその需要をいかに取り込み、北陸新幹線に一矢報いて北越急行の経営悪化を抑えられるか、その働きが注目されます。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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6件のコメント

  1. 一日も早く、「新潟中央環状線=越後曽根~白根中央~新津間」が早期に着工される事を強く望みます!

  2. 速さでは新幹線には敵いません。
    違った旅の楽しみ方を提案をしてみては?。
    私が考えるのは、レストラン列車!。
    食堂車を連結。と言うようなモノでは無く、
    全車食堂車(高級なレストラン風の車両)。
    ゆっくりと食事を楽しみながら、素晴らしい景色を眺め、のんびりと旅をする。
    時間と、ゆとりのある人達に、そんな旅を楽しんでいただくのもいいのでは?。

  3. 北陸新幹線に「対抗する」といった通り一遍(失礼しました…)な考え方だけでなく、

    超快速の運行によって
    「フル規格の新幹線だとどうしても捉えきれない地域・駅を結び、そして新幹線を補完する、その中で北越急行という鉄道会社も利益を上げつつ、新幹線から在来線まで鉄道網全体で乗客を増やす」

    そういう発想を貴方のような物書きから様々な鉄道会社、そして国や自治体、国民まで幅広く持ってほしいと考えています。

    なお、超快速は

    糸魚川~直江津~北越急行~越後湯沢
    上越妙高~直江津~北越急行~越後湯沢

    この2系統で運行されてほしいし、そのための列車や乗務員の確保する予算があればいいのですが。

    そういう思いを伝えたくてコメントしました。

  4. 管理人様こんにちは。例の「新潟中央環状線」がいよいよ開業に向けて動き始めました。後問題は、南区(旧白根市) に未だ早期着工に反対を唱えている輩がいる事です! 其の連中を何とか説き伏せられれば、幸甚です。従いまして、無論今現在在る「老人憩いの家・ニシカワ層」は近い将来、「ニシカワ触れ合い公園前駅」に生まれ変るのは致し方の無い事になるでしょう。其れと其の次が国道116号線に隣接する「旗屋駅」で、此処は南側が「スーパーリオンドールニシカワ店」、北側が「ワコール新潟縫製工場」で、国道を跨ぐ形で「旗屋工業団地」方面となります。是がいよいよ開業の運びとなれば、より一層南区(旧白根市)が行き易くなります。

  5. どれ程の年月が費やされる事か

  6. 新幹線に対抗する という発想ではなく 

    新幹線を補完し新幹線と在来線の両方の利便性向上と両方の乗客増加 

    という発想で考えてほしい。 
    このようなメディアから鉄道会社各社 そして乗客まで。