発車したウィラーの鉄道 地方公共交通の衰退を阻止できるか?

4月1日、三重県の内部・八王子線と同時に京都府北部などを走る北近畿タンゴ鉄道も「上下分離方式」を採用。新たなスタートを切りました。内部・八王子線とはまた違う独特な環境に置かれているこの鉄道、その未来はどうなるのでしょうか。その鍵は「高次元化」といいます。

国鉄線を引き継いだ第三セクターとして

 近鉄の内部・八王子線(三重県)が「上下分離方式」の経営に移行し、四日市あすなろう鉄道が列車の運行を引き継いだ2015年4月1日(水)。この日、北近畿タンゴ鉄道も上下分離方式に移行し、「京都丹後鉄道」として再スタートを切っています。

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京都府北部と兵庫県の一部に路線を持つ北近畿タンゴ鉄道(画像:国土交通省)。

 北近畿タンゴ鉄道は、京都府北部の丹後半島近くに構築されたローカル線のネットワークで、福知山(京都府福知山市)~宮津(同宮津市)間30.4kmの宮福線と、西舞鶴(京都府舞鶴市)~宮津~豊岡(兵庫県豊岡市)間83.6kmの宮津線で構成されています。沿線には日本三景の一つに数えられる天橋立があり、京都・大阪方面から天橋立方面に直通するJR西日本の特急列車も乗り入れています。

 宮福線、宮津線のいずれも、かつての国鉄が経営していた、もしくは経営しようとしていた路線を、沿線自治体が設立した第三セクターが引き継いだものです。宮福線は、日本鉄道建設公団(現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が工事に着手し、完成後は国鉄が運営するはずでしたが、国鉄の経営悪化を受けて凍結。第三セクターの宮福鉄道が完成後の経営を引き受けることを条件に工事が再開され、1988(昭和63)年7月16日に開業しました。

 対し宮津線は元々、1924(大正13)年から1932(昭和7)年にかけて開業した国鉄線です。しかし1980(昭和55)年頃から、こちらも国鉄の経営悪化を受けて廃止が取りざたされるようになりました。そこで宮福線の開業に先立つ1988年6月、宮福鉄道が宮津線の経営も引き受けることが決定。宮福線開業から1年後の1989(平成元)年8月、宮福鉄道は社名を北近畿タンゴ鉄道へ変更し、1990(平成2)年4月1日から、宮福線と合わせ宮津線の運営も行うようになりました。

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コメント

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3件のコメント

  1. ドイツに1年ちょっといましたが,ドイツでは,地方(日本の県くらいの範囲)の鉄道,バス,Sバーン,Uバーンなど1日全部乗り放題のチケットを20ユーロくらいで売っていました。
    日本はいまTPP導入だけでも議論する状態ですが,TPPを導入し,さらに次の段階として,公共交通についても海外と同じような考え方のスキームを検討することは可能と思います。

  2. ドイツ在住26年の者です。
    ドイツの地方近距離公共交通機関はごく一部を除いて、国・州・自治体のみが運営に関わり民間が排除されている所謂「親方日の丸」状態で、毎年運賃値上げをして運営にも全く弾力性が見られず、利用者無視の状況です。
    日本にはほとんど参考にはなりません。
    毟ろドイツの交通事業者が日本を手本にすべきです。

  3. 鉄道が必要なほどの客がいないのならウィラーがバスを運行すれば良い。