発車したウィラーの鉄道 地方公共交通の衰退を阻止できるか?

奪われてしまった定期外客

 定期外客の大きな収入に支えられてきた北近畿タンゴ鉄道ですが、1994年度以降は利用者が減り続け、2011年度には約194万人、ピーク時から36%も減ってしまいました。当然ながら収入も減少しており、旅客運輸収入は1996年度のピークが15億2800万円だったのに対し、2011年度は43%減の8億8500万円になっています。

 北近畿タンゴ鉄道も全国各地のローカル線と同様、過疎化や少子高齢化により定期客が減少しているうえ、同鉄道の収入において大きな割合を占めていた定期外客も減ってしまったからです。

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2014年7月20日に吉川JCTから敦賀JCTまで全通した舞鶴若狭自動車道(画像:NEXCO中日本)。

 京都市と宮津市を結ぶ京都縦貫自動車道や、兵庫南部と舞鶴、敦賀を結ぶ舞鶴若狭自動車道などの整備が進んだため、ビジネス客や観光客が鉄道から道路に移ってしまいました。そして既に述べたように、定期外客は定期客に比べて「単価」が大きいため、北近畿タンゴ鉄道の収入は利用者数の減少以上に大きく悪化してしまった、というわけです。

 北近畿タンゴ鉄道も無策だったわけではなく、福知山~宮津~天橋立間を電化し、大阪や京都から天橋立に直通するJRの電車特急を乗り入れさせて所要時間の短縮を図るなど、競争力の強化を図ってきました。しかしそれでも、利用者の減少に歯止めがかかっていない状態です。

 北近畿タンゴ鉄道の大株主である京都府と沿線の自治体は、こうした状況を受けて経営の見直しに関する検討会を設置。利用者がとくに少ない宮津線の豊岡方面を一部廃止することも考えられましたが、最終的には今回行われた上下分離方式の導入によって、経営の改善を図ることが決まりました。

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コメント

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3件のコメント

  1. ドイツに1年ちょっといましたが,ドイツでは,地方(日本の県くらいの範囲)の鉄道,バス,Sバーン,Uバーンなど1日全部乗り放題のチケットを20ユーロくらいで売っていました。
    日本はいまTPP導入だけでも議論する状態ですが,TPPを導入し,さらに次の段階として,公共交通についても海外と同じような考え方のスキームを検討することは可能と思います。

  2. ドイツ在住26年の者です。
    ドイツの地方近距離公共交通機関はごく一部を除いて、国・州・自治体のみが運営に関わり民間が排除されている所謂「親方日の丸」状態で、毎年運賃値上げをして運営にも全く弾力性が見られず、利用者無視の状況です。
    日本にはほとんど参考にはなりません。
    毟ろドイツの交通事業者が日本を手本にすべきです。

  3. 鉄道が必要なほどの客がいないのならウィラーがバスを運行すれば良い。