発車したウィラーの鉄道 地方公共交通の衰退を阻止できるか?

「利用者が特殊」な北近畿タンゴ鉄道

 いわば国鉄が経営難で手放した路線を引き受ける形で誕生した北近畿タンゴ鉄道は、新型車両を導入するなどサービスの改善を図りました。それが功を奏したのか、開業後しばらくは利用者が増え続け、1993(平成5)年度には利用者の総数が約303万人に達しています。ただし利用者の「構成」は、ほかのローカル線とは異なる傾向が見られました。

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JR線への直通特急に使用される北近畿タンゴ鉄道の特急車両「タンゴディスカバリー」(2013年11月、恵 知仁撮影)。

 1993年度における利用者の割合は、定期券の利用者(定期客)が54.4%で、定期券以外のきっぷを使った利用者(定期外客)が45.6%。ほかのローカル線に比べて、定期外客が大きなウエイトを占めていました。京都・大阪方面から直通する特急列車が運転されていること、そして天橋立という有名観光地が沿線にあることから、定期券を使わないビジネス客や観光客の利用が多いということなのでしょう。2011年には定期客が46.9%、定期外客が53.1%になり、その傾向がさらに強まっています。

 旅客運輸収入の推移を見ると、その傾向がさらに分かりやすいです。収入がピークを迎えた1996(平成8)年度は定期客が10.1%、定期外客が89.1%の割合で、定期外客からの収入が圧倒的に多くなっています。定期外客は定期券より割高な乗車券で鉄道を利用し、特急券や指定席券など、乗車券とは別に料金券を購入することも多いため、ひとりあたりの「単価」が大きいのです。

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コメント

2件のコメント

  1. ドイツに1年ちょっといましたが,ドイツでは,地方(日本の県くらいの範囲)の鉄道,バス,Sバーン,Uバーンなど1日全部乗り放題のチケットを20ユーロくらいで売っていました。
    日本はいまTPP導入だけでも議論する状態ですが,TPPを導入し,さらに次の段階として,公共交通についても海外と同じような考え方のスキームを検討することは可能と思います。

  2. ドイツ在住26年の者です。
    ドイツの地方近距離公共交通機関はごく一部を除いて、国・州・自治体のみが運営に関わり民間が排除されている所謂「親方日の丸」状態で、毎年運賃値上げをして運営にも全く弾力性が見られず、利用者無視の状況です。
    日本にはほとんど参考にはなりません。
    毟ろドイツの交通事業者が日本を手本にすべきです。