発車したウィラーの鉄道 地方公共交通の衰退を阻止できるか?

4月1日、三重県の内部・八王子線と同時に京都府北部などを走る北近畿タンゴ鉄道も「上下分離方式」を採用。新たなスタートを切りました。内部・八王子線とはまた違う独特な環境に置かれているこの鉄道、その未来はどうなるのでしょうか。その鍵は「高次元化」といいます。

京都丹後鉄道の鍵を握る「高次元化」

 とはいえ、ウィラー・トレインズは2015年3月31日以前と同じ運行体制を続けていくつもりもないようです。とりあえずは1年後の実施が見込まれるダイヤ改正をめどに、さまざまなサービスの変更が順次実施されると思われます。

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ウィラー・トレインズは「地域のシンボルとして地元の方々に愛される鉄道を目指す」としている(画像:ウィラー・アライアンス)。

 ウィラー・グループの鉄道会社が運行するということで、まず気になるのはウィラーが運行する高速バスとの連携ですが、村瀬社長は1月29日の記者会見で「(鉄道の利点である)大量輸送と定時性という軸を作るのが先」としています。域外からの旅客誘致に関しては当面のあいだ、京都・大阪方面からの特急列車を運行しているJR西日本との連携を重視する方針のようです。

 その一方、域内におけるほかの公共交通との連携については「高次元交通ネットワークの実現」を掲げており、このコンセプトに沿った運行時刻の変更などが進められるとみられます。村瀬社長によると、「複数の公共交通がひとつのサービスとして提供されている姿になること」を「高次元交通ネットワーク」としています。

 具体的には、駅とバス停を乗り換えしやすい場所に配置したり、鉄道とバスの発着時刻を調整して接続を図る、といったことなどが挙げられます。要は、鉄道だけでなくバスなども含め、地域全体の公共交通を便利なものにしていこうという考え方です。京都丹後鉄道の場合、丹後半島周辺の路線バスや観光船、ケーブルカーなどを運行している丹後海陸交通(丹海バス)との連携強化が考えられ、列車とバスの接続時間をできるだけ短縮するなどの改善が図られるとみられます。

 ただ、複数の運輸会社の連携による公共交通の改善は、古くからいわれ続けてきたことではあるものの、実際に成功した例をほとんど聞いたことがありません。会社によってバス停の位置が分かれていたり、列車を降りてバス停に向かったらバスが発車した直後だった……などということは、いまでも全国各地でよく見られます。

 こうした現実があるなかで、ウィラー・トレインズが「高次元交通ネットワーク」を実現することができるかどうか、それによって地方の公共交通の衰退に歯止めをかけることができるかどうか、注目していきたいところです。

【了】

Writer:

鉄道ライター。鉄道誌『鉄道ファン』『鉄道ジャーナル』『鉄道ダイヤ情報』やニュースサイト『レスポンス』などで、鉄道の記事を多数執筆。著書に『鉄道計画は変わる。』『鉄道未完成路線を往く』など。

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コメント

3件のコメント

  1. ドイツに1年ちょっといましたが,ドイツでは,地方(日本の県くらいの範囲)の鉄道,バス,Sバーン,Uバーンなど1日全部乗り放題のチケットを20ユーロくらいで売っていました。

    日本はいまTPP導入だけでも議論する状態ですが,TPPを導入し,さらに次の段階として,公共交通についても海外と同じような考え方のスキームを検討することは可能と思います。

  2. ドイツ在住26年の者です。

    ドイツの地方近距離公共交通機関はごく一部を除いて、国・州・自治体のみが運営に関わり民間が排除されている所謂「親方日の丸」状態で、毎年運賃値上げをして運営にも全く弾力性が見られず、利用者無視の状況です。

    日本にはほとんど参考にはなりません。

    毟ろドイツの交通事業者が日本を手本にすべきです。

  3. 鉄道が必要なほどの客がいないのならウィラーがバスを運行すれば良い。

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