中国が否定する東京都沖ノ鳥島、肯定する南沙諸島 矛盾どころではないその主張
東京都沖ノ鳥島との決定的な違い
中国は日本最南端の「沖ノ鳥島(東京都小笠原村)」を島ではないと主張しています。しかし沖ノ鳥島は自然に形成された陸地であると同時に、満潮時において海面に露出しており、ファイアリークロスリーフとは事情が異なります。沖ノ鳥島はその周囲を護岸工事によって埋め立てていますが、これは侵食を防ぐためのもの。日本政府は沖ノ鳥島を領土としてみなし、その周囲12海里に領海と領空、そして周囲200海里に排他的経済水域を設定しています。
ただし、海洋法に関する国際連合条約では、
第121条
3項 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。
とあるため、その周囲に設定された排他的経済水域について、議論があることは確かです。日本政府は沖ノ鳥島に灯台を建設するなどして、経済的生活が成立しているとの立場をとっています。
いずれにせよ、中国はファイアリークロスリーフなどの人工島に対し合法的に領空・領海を設定できないため、実行支配するには戦闘機や艦船を配備し実力をもって干渉を排除するしかありません。人工島の飛行場が完成後、戦闘機などの基地とする可能性は十分に考えられます。
そしてP-8A「ポセイドン」などの哨戒飛行に対し攻撃には至らなくとも、今回のようにただ無線で退去を警告する場合と、戦闘機によって監視の上で警告する場合とでは、明らかに違う意味をもちます。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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