英国の空を飛んだ海自P-1 そこにある歴史的意味

2015年7月、海上自衛隊のP-1哨戒機がイギリスのエアショーで飛行展示を行いました。イギリスで海自機を飛ばしたことにはどんな背景、また目的があるのでしょうか。またそこには、歴史的な日本とイギリスの関係も見えてきます。

イギリスの空を飛んだ海自機

 例年7月の第2週末、イギリスのフェアフォード空軍基地において、世界的なエアショー「ロイヤル・インターナショナル・エアタトゥー(RIAT)」が開催されます。

 この「エアタトゥー」はヨーロッパを中心に世界中から数百機の軍用機が集結し、飛行展示に限っても朝から晩まで8時間以上途切れることなく行われる「世界最大の軍用機エアショー」として知られます。今年も7月10日・11日に大盛況のうちに開催されましたが、今回は「エアタトゥー」史上初となる「珍客」が多くの注目を集めました。

 その珍客とは海上自衛隊のP-1です。P-1は川崎重工製の国産哨戒機であり、現在、P-3C「オライオン」の後継として配備が進められ、まもなく実働体制に入る見込みの新鋭機。その飛行展示が今回、実施されています。また「哨戒機」とは、対潜水艦などを想定した航空機です。

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配備が進められている国産哨戒機P-1(写真出典:海上自衛隊)。

 2012年の「エアタトゥー」においては、航空自衛隊のKC-767空中給油機が自衛隊機として地上展示のみながら初参加していましたが、KC-767自体は米製のボーイング767旅客機の派生型。しかし今回のP-1は機体からエンジンまで日本製の国産機であり、しかも飛行展示を実施するという歴史的なイベントとなりました。

「エアタトゥー」は冷戦時代から続く歴史あるエアショーであり、実は主催者による自衛隊の招待は以前から行われていました。これまでずっと断り続けていた自衛隊がなぜ2012年になってKC-767を初派遣し、そして今年になって自衛隊機として初となるP-1の飛行展示に踏み切ったのでしょうか。

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