英国の空を飛んだ海自P-1 そこにある歴史的意味

2015年7月、海上自衛隊のP-1哨戒機がイギリスのエアショーで飛行展示を行いました。イギリスで海自機を飛ばしたことにはどんな背景、また目的があるのでしょうか。またそこには、歴史的な日本とイギリスの関係も見えてきます。

次期哨戒機の選定を進めているイギリス空軍

 日本はこれまで堅持していた「武器輸出三原則」を緩和。2014年、新たに「防衛装備移転三原則」を制定し、自衛隊機として開発された航空機の輸出解禁に踏み切りました。そしてすでに海上自衛隊の新明和工業US-2救難飛行艇が、インド海軍へ導入されることが決まっています。

 このUS-2は非武装の航空機ですが、今回は「潜水艦ハンター」である戦う航空機P-1の輸出成功を目指し、世界的なエアショーである「エアタトゥー」で“営業活動”を目的に飛行展示が行われました。

「エアタトゥー」におけるP-1営業活動の最大のターゲットは、ずばり開催国であるイギリスです。現在、イギリス空軍では次期哨戒機選定計画が進んでおり、ボーイングP-8A「ポセイドン」、ロッキードC-130MP「ハーキュリーズ」といった候補が有力であるとみられており、P-1はこれらと争うこととなります。

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イギリスの次期哨戒機候補とされるボーイングP-8A「ポセイドン」(写真出典:アメリカ海軍)。

 P-8Aはボーイング737旅客機を原型とした双発ジェット機で、C-130MPは輸送機を原型とした4発ターボプロップ(プロペラ)機です。いずれも数千機あまりが大量生産され高い信頼性を有しており、この点、後発のP-1は大きな不利となるでしょう。

 しかしP-1は哨戒機専用に設計された4発ジェット機であることから、低空飛行の多い哨戒任務においてエンジンが1発停止してもまだ3発残る冗長性、そしてジェットがゆえの高い速度性能など、純粋に哨戒機として見た能力に分があります。

 ただイギリス空軍では2011年までホーカー・シドレー「ニムロッド」4発ジェット哨戒機を運用していましたが、高コストから「ニムロッド」の性能向上計画を断念。後継機導入を待たずに早期退役してしまっています。また哨戒機としての能力は飛行性能よりも搭載されるレーダーや音響装置などミッションシステムが重要です。飛行性能の高すぎる高級機であるP-1は、逆に苦戦を強いられるかもしれません。

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