ETC2.0はスマホに勝てるのか? その将来は

ETC2.0の開発が進められています。しかし、内容はスマホと競合する部分も。進歩の早いスマホ相手にETC2.0はこの先、どこへ向かっていくのでしょうか。

ETC2.0にする必要自体が薄い?

 国交省は、次世代ETCであるETC2.0を開発中ですが、それを搭載した車両について、料金を割り引く方針であると伝えられています。読売新聞(2015年7月28日)によると、内容は以下の通りです。

「都心の渋滞を解消するため、首都高速の渋滞区間を避けて交通量の少ない環状線を使った場合に料金を割り引くことを検討している。交通事故による渋滞を避けるため一時的に一般道に出て再び高速道路に乗った場合も追加料金がかからないようにする。将来的にETC2.0の普及が進めば、渋滞の度合いに応じて高速道路の料金を変動させる仕組みも検討している」

 実にばかばかしい話です。まず「都心の渋滞を解消するため」という前提からして間違っています。首都高はC2品川線の開通によって、都心部の渋滞は大幅に緩和されました。現在ではむしろC2のほうが渋滞が激しい時間帯も多くなっています。「渋滞区間を避けて交通量の少ない環状線を使った場合に料金を割り引く」という状況自体、ほとんどお目にかかれません。

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ETCによって高速道路利用が便利になったのは確かだが(2015年7月、下山光晴撮影)。

 もうひとつ、「交通事故による渋滞を避けるため一時的に一般道に出て再び高速道路に乗った場合も追加料金がかからないようにする」という施策のほうは、なかなか魅力的に思えますが、やろうと思えば現在のETCでも十分できること。あえてETC2.0だけに適用を絞るのは、我田引水な普及策です。ただ全ETC車でこれを実行すると、首都高や阪神高速の場合、渋滞手前の出口が大渋滞してしまうという現実はありますが……。

 なお、NEXCOの高速道路に関しては、これの適用による料金メリットは、ターミナルチャージの150円分だけです。

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