夢の「駅直結物件」どうすれば叶うのか? 地下通路とビルをつなぐ“マイ出入口”の造り方

地下鉄駅の通路の一部は、民間のビルとつながっています。「駅直結」をうたって資産価値を上げるために、ビルを地下通路に接続させるためには、どうすればよいのでしょうか。

地下駅の「請願口」を設置するには?

 東京の地下には大規模な地下道ネットワークが広がっています。歩いている時は意識しませんが、これらは連続的なひとつの地下道ではなく、多くの場合さまざまな地下通路が接続する形で構成されています。

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出入口と民間ビルが一体化している新宿三丁目駅(画像:PIXTA)。

 例えば新宿駅東口の地下通路は、東京メトロ丸ノ内線新宿駅から新宿三丁目駅に続く「メトロプロムナード」、花園神社付近からタカシマヤタイムズスクエア付近まで続く全長800mの副都心線地下通路、都営新宿線のコンコースから構成され、西武新宿駅方面につながる新宿サブナード株式会社運営の「新宿サブナード」、JR新宿駅南口付近に伸びる国土交通省・東京都の「新宿東南口地下歩道」が接続しています。

 公共的な性格の強い地下道ですが、一方で多数の民間ビルが地下通路に直結しています。雨にぬれずに移動できる直結口は営業上、非常に有利な設備であり、ビルの資産価値を向上させますが、どのような手続きをすれば設置できるのでしょうか。

 近接ビルなど外部事業者からの要望で設置される連絡出入口を「請願出入口」といいます。日本初の地下鉄、東京地下鉄道(現在の銀座線新橋~浅草間)が1930年代に上野から日本橋、銀座へと延伸する過程で、デパートとコンコースを直結することで駅の建設費を負担してもらったように、実は古くからある手法です。

 なお、三越と直結する三越前駅、上野松坂屋と直結する上野広小路駅は、出入口どころかデパートのために造った駅です。このように地域や周辺企業が費用を負担し設置する駅を「請願駅」といい、近年では東京メトロ日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅(森ビル)、東武東上線のみなみ寄居駅(本田技研工業)、JR京葉線の幕張豊砂駅(千葉県、千葉市、イオンモール)などの事例があります。

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