路線を延ばしたら妨害に!? 阪和線の「ミニ支線」はどこを目指したのか “痕跡”はある?
天王寺~和歌山間を結ぶJR阪和線には、1.7kmの支線、通称「羽衣線」があります。阪和線の前身となる阪和電気鉄道の開業時から存在しますが、なぜ1駅だけの支線が作られたのでしょうか。
最近まで国鉄型103系が走っていた
支線はわずか1駅ですが、1972(昭和47)年まで荷物扱いがあり、1973(昭和48)年には東羽衣駅が高架に変更。2016(平成28)年に4両編成対応化と、改良が重ねられています。現在は阪和線東羽衣支線と呼ばれており、旅客案内上は「羽衣線」とされています。
羽衣線は鳳駅の5番線にある専用ホームから発着します。車両は長年、4扉ロングシート車の国鉄型103系電車でしたが、現在では3扉転換式クロスシート車の225系電車5000・5100番台が投入され、支線ながらハイグレードです。
運転間隔は朝ラッシュ時が毎時5本、日中でも4本と多く、午前5時台から深夜0時台まで列車がある、利便性の高い路線です。
筆者(安藤昌季:乗りものライター)が乗った19時18分発の列車番号「913H」は、225系4両編成でしたが、席はおおむね埋まっていました。出発すると、大きく右にカーブし、あとはほぼ直線です。終点の東羽衣駅まではわずか3分、あっという間に到着しました。
東羽衣駅は1面1線ですが、かつては降車用ホームが分かれていて2面1線でした。南海本線とは直角に交わっており、羽衣駅もすぐ近く。ホームからは通過する南海電鉄の電車が見えました。
2023年度の平均乗車人員は4702人/日で、エレベーターも備わるなど駅設備は立派です。駅舎は改築されており、建設理由となった浜寺海岸の海水浴場も今は存在しません。かつての栄華を偲べるものは見当たりませんでした。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
コメント