「ブルーインパルス」には必須!? 飛行機が劇的に安全へ! 米軍生まれの「夢のシステム」とは

近年、アメリカで航空機に関する画期的な安全装置が誕生しました。「Auto-GCAS」と呼ばれるその装置は、地面に激突しそうになる飛び方を、機体側が事前に予知し、危うくなると回避してくれるそうです。

飛行機が自動で地上衝突を回避してくれる!?

 しかし、近年になり、このようなパイロットに対する死の危険を克服するための技術が登場しました。それがロッキード・マーチンによって開発された「自動地上衝突回避システム(Auto-GCAS)」です。このシステムは、機体の姿勢、高度、速度、デジタル地形データなどをリアルタイムで分析し、地上衝突の可能性を予測します。機体が墜落の危機に陥った際には、自動的に機首を上げ(背面飛行の場合は水平に戻した後)、安全な高度に自動復帰させるのです。

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Auto-GCASの説明イメージ(画像:ロッキード・マーチン)。

 YouTubeでは、Gによる意識喪失からAuto-GCASで復帰したF-16の映像を見ることが可能です。「Auto GCAS」で検索すると出てくる当該映像では、マッハ1.1で降下中にリーダー機と思われるパイロットが「2番機、機首を上げろ!」と繰り返し警告するなか、自動的に水平飛行に戻る様子が映し出されています。

 アメリカ空軍では、Auto-GCASはまずF-16に導入され、F-22やF-35などにも順次適用されています。このシステムは、ロッキード・マーチン社製のF-16、F-22、F-35だけでなく、将来的にはボーイング社製のF-15やF/A-18といった戦闘機にも搭載されることが見込まれています。

 ロッキード・マーチンの予測によれば、Auto-GCASが導入されることで、今後15年間で34機の航空機、25人のパイロットの命が救われるそうで、23億ドルのコスト低減も見込まれるといいます。

 もしかしたら、近い将来、航空自衛隊も導入を決め、F-2やF-15といった戦闘機にも搭載されるかもしれないでしょう。

 こうした技術の進歩によって、21世紀後半にはG-LOCやバーティゴによる重大な事故が減少し、パイロットの安全性が飛躍的に向上していることを望んでやみません。

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Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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