日本の護衛艦輸出「一度はフラれた国」に再トライなるか 防衛大臣も前のめり!?「あれで終わったわけじゃない」が現実に
中谷防衛大臣は2025年1月7日、インドネシアのジャカルタで同国の国防大臣と会談を行い、そこで「日本からの護衛艦の輸出」が話題に上がったと報じられています。同国向けは過去に頓挫した経緯がありますが、可能性はあるのでしょうか。
これで輸出は確実!…とはならないワケ
インドネシアがイタリア案を採用した2021年時点で、「さらに水上戦闘艦能力を強化する」ための新型艦導入をできなかったのには理由があります。2024年10月まで大統領職にあったジョコ・ウィドド前大統領が、ジャカルタからの首都移転などで経費を使いすぎて、新型艦の導入にまで手が回らなかったためと言われています。
一方で、2024年10月に就任したプラボウォ・スビアント現大統領は軍人出身で、2024年10月までは国防大臣を努めており、新型艦導入が進まなかった経緯も熟知しているものと思われます。
日本としては、ウィドド前大統領に比べて軍事力の整備に積極的と見られるスピアント大統領の就任を機会として、話をまとめたい思惑が伺えます。しかし、前に述べた1月7日付の読売新聞によれば、中谷防衛大臣が「(インドネシアが)海軍の近代化を進め、海洋抑止力を高めることは地域全体の平和と安定、繁栄に寄与する」と水上戦闘艦の共同開発案に前のめりな姿勢を見せたのに対し、シャフリ国防大臣は「安全保障に関する戦略的協力の強化などについて話し合いたい」と述べたといいます
もちろんこれらの発言だけで判断するわけにはいきませんが、日本とインドネシアの両政府の間の新型艦導入に対する姿勢には、若干温度差があるようにも見受けられます。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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