日本の中古鉄道車両、なぜミャンマーで愛される? 車内に日の丸も

日本の中古車両、なぜミャンマーで愛される?

 この日乗車したのは、ヤンゴンと周辺都市を結ぶ環状線。1周3時間ほどで、環状線といっても1周する列車は少なく、大半の列車は途中で折り返し運転をしています。

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JR東日本から譲渡されたミャンマー国鉄のキハ40系。そのままの塗装で活躍する(伊原 薫撮影)。

 そしてここでは、日本からやってきたディーゼルカーが多く活躍。翌日やってきたのは、日本の国鉄が製造した元・JR東日本のキハ40系でした。こちらもカラーリングはそのままで、JRでの車番表記も残っています。車内もボックスシートのままで、ドアのステッカーなども剥がされていませんでした。

 車内の端部には、日本の国旗が描かれていました。「この車両の輸送費や保守技術は、日本の援助で行われた」と、英語とビルマ語で書かれています。車外にも日本とミャンマーの国旗が。

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キハ40系の車内には、日本から譲渡されたことがPRされていた(伊原 薫撮影)。

 写真を撮っていると、ミャンマーの人たちが話しかけてきました。私が日本人だというのがわかると、「この車両は日本から来たんだよ」と教えてくれます。もちろん知っている、この車両を見るために私はミャンマーへ来たんだ、というと、「日本の車両は乗り心地がいいし、クーラーがあるから涼しくて最高だよ」と話してくれました。

 ちなみに、ミャンマーではエアコンのついた車両はまだまだ珍しく、運賃も少し高くなります。列車は「全車エアコンあり」か「全車エアコンなし」のどちらかで、つまり列車によっては強制的にエアコン車、つまり運賃の高い車両に乗せられるのですが、ミャンマー人はその点をあまり気にしてはいないようです。

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のと鉄道から譲渡された車両の車内。あちこちに日本語表記が残っている(伊原 薫撮影)。

 別の日には、ヤンゴンからひたすら北を目指しました。やって来た車両は、かつて石川県の能登半島を走っていた元・のと鉄道(石川県七尾市)のNT100形。ミャンマーに来た日本車のなかでも、初期のグループに属します。2006(平成18)年に海を渡り、もう10年が経ちますが、いまも現役で走っているのは嬉しい限りです。この車両は、ミャンマー国鉄では標準的な赤とクリーム色に塗装されていました。

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のと鉄道から譲渡された車両。大半の日本車は赤とクリーム色に塗られている(伊原 薫撮影)。

 列車に揺られて12時間、着いた駅には、元・JR北海道のキハ141系がいました。

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ミャンマーにやってきた元・JR北海道のキハ141系。塗装は北の大地を走っていた当時と同じ(伊原 薫撮影)。

 熱帯のミャンマーですが、厳しい冬の車内保温を目的にした北海道ならではの二重窓構造も健在。列車には、学校帰りでしょうか、多くの子供たちが乗っていました。見わたす限りの草原地帯を、のんびりと走る日本のディーゼルカー。なんとも贅沢なひとときでした。

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コメント

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6件のコメント

  1. 政治抜きに考えるといい話だな
    不穏な地域でもキチンと運航できるようになればいいな。
    こんなカラーリングの装甲列車なんて冗談にしか見えない。

  2. JICAは日本政府の機関だから「ミャンマー国鉄では、日本政府やJICA(国際協力機構)が線路や信号システムの改善を援助しており、どんどんと近代化が進行中。」という書き方は若干不自然。そもそもこの文の構成も、少々難ありか?

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  6. 日本の車両が海を渡って活躍するのは嬉しい事ですが、現地国の車両製造産業の仕事を奪っていると指摘する記事も見ました。保守技術の指導や継承をしっかり行って産業育成につながるよう期待します。あと、キハ11を海外に売却するのなら地元のJR九州に売り込んでほしかった。収容力が大きなキハ40系を持て余す路線や区間が多く、メリットはあったと思います。整備状態が良く掃除が行き届いていてきれいなJR東海の車両は、日本の地方でまだまだ働けたと思う。