わざと低空飛行でゴオォォォ… 自衛隊も実施 戦闘機の最も効果的な使い方「ショー・オブ・フォース」とは

戦争映画などで、ピンチになった時に颯爽と味方の戦闘機が現れ、それに対して地上の兵士たちが歓声を上げる描写を見ることがあります。それは、偶然ではなくあえて行うことがあるそうです。いったい、どういうことでしょうか。

実戦であえて見せつける「飛び方」って?

 戦闘機と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは、敵を攻撃する場面やドッグファイトでしょう。しかし、戦闘機にはそれだけではない重要な役割があります。そのひとつが「ショー・オブ・フォース(Show of Force)」です。この言葉は直訳すれば「力を見せる」という意味で、戦闘行為を伴わない、武力による示威活動のことを指します。

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地上部隊の頭上を低空飛行するA-10攻撃機。実戦における低空飛行は士気向上効果をもたらす(画像:アメリカ空軍)。

「ショー・オブ・フォース」の一例としては、戦闘機による低空飛行が挙げられます。この戦術は、戦闘地域でしばしば採用されており、例えば、味方の部隊が危険な状況に陥りそうな場合に彼らの頭上を戦闘機が低空で飛ぶことで、爆音によって地上の兵士たちの士気を劇的に向上させる効果を得られます。なお、この行為は戦闘機が現れることで、戦闘機による航空支援を受けられるという期待感や、「我々は見捨てられていない」という安心感を生むことにつながります。

 逆に、敵の頭上を低空飛行する場合は、相手に恐怖心を植え付ける効果があります。耳をつんざくような轟音は、地上の兵士に戦闘機の圧倒的な存在感を認識させます。これにより、敵の士気を低下させることが可能であり、何かアクションを起こせば爆撃されるという恐れから、攻撃をためらわせることが可能です。

 このように、低空飛行による「ショー・オブ・フォース」は、直接的な攻撃を伴わなくても、戦況に影響を与えることができ、過去様々な戦争において実際に行われてきました。飛行場に帰還した際、着陸前に360度横転し敵を撃墜したことをいち早く地上に知らせる「ビクトリーロール」もこの一種と言えるでしょう。

 ただし、こうした行動を実施するためには、事前に敵が空対地ミサイルをはじめとした有力な対空火器を所持していないことが明らかであるなど、脅威レベルが低い場合に限られます。

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