「スゴすぎるロマンスカー」に乗ってみた “フル加速”運転も!? 珍しい「GSE」の臨時列車どうやって実現

小田急ロマンスカーのフラッグシップ車両である70000形「GSE」。2編成しかないこの形式が団体臨時列車として運転されました。どうやって実現させたのでしょうか。

一気に加速する「フル加速」体験も

 あっという間に多摩線を走り切ると、列車は新百合ヶ丘駅に到着。ここでは、新百合ヶ丘車庫線(8両までしか入線できない7番線)に入線します。通常はありえない、ロマンスカーの「非日常体験」が楽しめました。列車はここから小田原まで、通常は試運転列車が使用する行路で本線を下っていきます。

 ここからは、「GSE」に搭載されている車内BGMが片っ端から流されていくという、「音鉄」に嬉しい企画がありました。「GSE」には15曲の車内BGMがあり、当日は「いつか王子様が」「魅惑のワルツ」「誰かが私を見つめてる」「オーラリー」など、10曲程度が披露されました。上品なBGMが流れ続ける車内は、通常の「ロマンスカー」とまた違った雰囲気です。

 相武台前駅では後から来たロマンスカーを先に通す「通過待ち」も実現。ロマンスカーがロマンスカーを追い抜くという、珍しい光景が実現しました。またトンネル区間では、車内照明が消灯され、普段はあり得ない夜行列車のような雰囲気を楽しむことができました。

 列車は小田原駅に到着すると、ホームがない「小田原留置線」に入線。そこから折り返して開成車庫に入線し、「GSE」の撮影会と、駅前に展示されている3100形「ロンちゃん」の見学が行われました。

 当日は3100形「ロンちゃん」の車内や運転台が特別に公開され、実際に3100形を運転していた主任運転士が車両を解説し、参加者は熱心に聞き入っていました。現行の「ロマンスカー」と異なり、3100形は運転室の環境も過酷で、運転士の技量が試される車両だったそうです。

 一連のイベントが終わり開成車庫を発車すると、後はもう終点の新百合ヶ丘へ向かって走るだけですが、ここでもサプライズが。富水駅を通過した後、一気に加速し、最高運転速度である110km/h運転を行う「フル加速」体験が行われました。途中、車内放送で「加速は『GSE』より『VSE』の方が良かったかもしれません」という、乗務員ならではの興味深い話も聞くことができました。

 また車内では、かつてロマンスカーで実施されていたシートサービス「走る喫茶室」の係員「スチュワーデス」の車内放送を再現する企画や、足柄乗務所の乗務員が作成したグッズが配られるなど、参加者を飽きさせない企画が盛りだくさんでした。参加すれば基本的に「1人2席利用」となり、隣に気兼ねすることなく車内を移動したり、ゆったりと利用できたのも嬉しいポイントです。

 さらに、今回のツアーでは“有料オプション”もあります。それは、ロマンスカーの運転台見学。参加者は梯子で展望室の上に設けられた運転室に座ることができたのです。

 この見学では運転士から「『GSE』の運転感覚は他の車両と異なり、運転席が高いため速度が遅く感じます。正確に停止位置に止める習熟も必要になります」といった興味深い話も聞くことができました。乗務員との距離が近いのが、こうした団体臨時列車の魅力でしょう。

 あいにく当日は曇りだったため、車内から雪化粧の富士山を望むことはできなかったものの、「乗り鉄」「撮り鉄」「音鉄」いずれも満足できる列車でした。

 なお、小田急トラベルでは今後も、ロマンスカー車両を使った珍しいツアーを実施していくとのこと。2025年2月8日(土)には、「MSE」が車庫線や新宿駅の地下ホームに入線する「ロマンスカーMSE4両編成を満喫する一日~車庫線・Y線・地下線入線、超激レア行路を走る&撮影タイム~」を開催する予定です。

【画像】珍しい!これが「開成車庫」に入線したロマンスカー「GSE」です

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