「これスポーツカー用ですよ!?」 オバケエンジン積んじゃった「伝説の軽トラ」 はナニモノ? 中古車市場では驚愕の金額も
20世紀初頭にフランスのレーシングカー用に開発されたエンジンを、日本のホンダではなんと軽トラに搭載していました。高性能だけど高コストなエンジンを搭載した伝説の軽トラ「T360」とは、一体どんな車なのでしょうか?
レーシングカー用エンジンをなぜ軽トラに?
1912(明治45)年、プジョーのレーシングカーのために開発されたDOHCエンジンは、のちに日本のクルマ・バイクメーカーでも多く採用されるようになりました。その高性能ぶりから、クルマ・バイクともスポーツモデルに採用されるケースが多い一方、日本で最初に搭載したのは、なんと軽トラックでした。
![Large 20250210 01](https://trafficnews.jp/wp-content/uploads/2025/01/250116_t360_01-1-600x400.jpg)
それが、ホンダ初の四輪車としても知られる1963(昭和38)年発売のT360という、なんともかわいいルックスの軽トラックです。
当時ホンダは、主にバイク分野で革命的なモデルを続々とリリースしていましたが、一方で四輪分野では主にスポーツカーの開発に取り組んでいました。この頃のホンダが進めていたのはS360、S500といったスポーツモデルでしたが、当時の市場は実用車、商用車のほうが圧倒的に多く、一般庶民が気軽にクルマを所有できる時代ではありませんでした。
そこで、「冬場、バイクの代わりに売れるもの」「バイク店でも販売できるもの」として軽トラックの開発に着手。果たして1963(昭和38)年に、T360が発売されることになったというわけです。
これはあくまでも筆者(松田義人:ライター・編集者)の想像ですが、高性能のDOHCエンジンがこの小さな軽トラックに搭載されたのは、前述のスポーツモデル用のエンジンをそのまま流用したせいではないかと思われます。DOHCエンジン採用の理由を裏付ける資料が乏しいですが、当時の軽トラックで「速さを競い合う例があった」とは思えず、ホンダ社内の開発の事情から、贅沢とも思えるDOHCエンジンが載せられたのではないかと想像します。
ちなみに当時の軽自動車の馬力は20?25馬力が一般的だったところに、T360は最高30馬力を8500回転で発生させていたとも。「軽トラにそんな出力、必要ないでしょ」とツッコミを入れたくなりますが、後述の通りホンダ関係者も自虐的にT360のエンジンの不必要性を語っています。
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