日本郵便vsヤマト“徹底交戦”突入か? ネコポス継続は「協業に制限されない」 両社譲らず、反論する
ヤマト運輸が日本郵便との協業に基づき終了するはずの薄型荷物向け「ネコポス」について方針を一転、サービス継続を発表しました。自社商品と協業商品を並行して取り扱うことに、日本郵便は強く反発。これにヤマト運輸が答えました。
ヤマトの主張は?
ヤマト運輸はネコポスの継続発表の経緯について、次のように話します。
「日本郵便さまとは、顧客の利便性向上に資する輸配送サービスの構築と、物流業界が抱える様々な社会課題の解決に向けて、引き続き協業していくことに変わりはありません。クロネコゆうメール・クロネコゆうパケットの配達は、引き続き日本郵便さまに委託します」
「加えて、『早く商品をお届けしたい』というお客さまのニーズにお応えするために、宅急便と同様のお届け日数で全国翌日配達する『ネコポス』の提供を継続することを決定しました。お客さまがニーズに合わせてより良いサービスを選択できる環境をつくりました。引き続き、多様化するお客さまや社会のニーズに応えるより良いサービスの提供に努めてまいります」
ただ、両者の認識はかけ離れています。日本郵便は、さらにこう主張します。
「そもそも今回撤回の対象となった原則翌日配達の11月22日付プレス自体、弊社において合意したものではなく、ヤマト社において一方的に発出されたものと承知しております。本日(1月22日)の『お知らせ』におけるネコポス継続のアナウンスも、弊社あてに事前の相談・調整等は一切なく弊社は合意もしておりません。ヤマト社において一方的に発出されたものです」
「今回11月22日付プレスを撤回したこと自体は評価するものの、そもそも協業を進める中で相手方との事前調整なく、一方的にこうしたプレスを発出すること自体、協業の趣旨を反故にするものと解釈せざるをえず、極めて遺憾です」
1月21日の日本郵便の反応を受けて、ヤマト運輸は次のように話しました。
「日本郵便さまとの基本合意書は、両社の暫定的な合意内容を定めた『中間合意書』であり、クロネコゆうパケットの委託スケジュール見直しの申し入れ、ネコポス継続などの経営判断は、基本合意書によって制限されるものではないと認識しております」
両者の協業は2024年6月に合意しました。提訴はわずか半年後の12月23日。日本郵便による賠償請求額は、協業の準備で支出した費用(50億円)と逸失利益の一部(70億円)など。そもそも協業の合意に法的義務があることの確認が含まれています。
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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