戦車って国宝になるの!? 10万両ある中で「最高待遇」を得た車体 じつは歴史の生き証人でした

ベトナムでは、外国製の戦車を国宝に指定しているとか。一体どういうことなのか、展示されている博物館に行ってみると、歴的な経緯と、指定された理由を知ることができました。

同じT-54でも扱いの差、ありすぎじゃない?

 843号車は博物館の屋内展示スペースに展示されています。周りにはサイゴン陥落時の写真や解説パネルが並べられており、博物館としても目玉的な展示となっていました。また、付近にはベトナム軍の衛兵が常に立っており、その扱いはまさしく国宝といった感じでした。

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博物館の屋外に置かれたT-54B。国宝戦車よりは普通に扱われているが、解説パネルによればこの戦車も実戦に参加しているそうだ(布留川 司撮影)。

 一方、博物館の屋外にはベトナム軍とアメリカ軍の鹵獲(ろかく)兵器が展示されているのですが、そこには国宝戦車とまったく同じT-54Bが展示されています。こちらは雨ざらしの状態で置かれており、同じ戦車でも来歴の違いで扱いもまったく異なるようです。

 ちなみに843号車だけでなく、大統領官邸に突入した390号車も国宝に指定されており、こちらも現存しています。ただ、展示されているのは別の場所とのことで、今回は見られずじまいで終わりました。

 T-54Bの843号車が、このように衛兵付きで屋内で保存・展示されているのを見ると、ベトナム戦争が、ベトナムという国の成り立ちに多大な影響を与えた歴史的な出来事であることを改めて感じました。

 だからこそ、過去に自国でどんなことがあったのかを後世にまで語り継ぐという意味で、ベトナム政府が歴史の一場面に立ち会った兵器を国宝として維持する意義は大きいことなのだといえるのかもしれません。

【画像】これが南ベトナム大統領官邸に突っ込んだ瞬間のT-54戦車です

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雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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