「AT限定はダサい」から30年 国はMT免許を廃止したい? 4月の改正前に教習現場は困惑か

2025年4月1日より運転免許(普通車・普通二種)の教習課程が改変されます。ただ、制度改変に対応できない教習所もあるようで現場は混乱しているとか。ますます取得のハードルが上がるMT免許の取得について解説します。

制度の改変で「MT免許」の取得者はますます減ることになる

 筆者が調べたところ、4月1日からの自動車教習所の対応は以下の3つに分けられるようです。

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2018年2月に発売された現行の「トヨタ教習車」の車内(画像:トヨタ)。

1、前述した新制度に切り替えて教習を行う

2、「教習でMT車を用いてはいけない」と明記されていないことを根拠として、当面の間は旧制度のまま教習を行う

3、新制度への対応が困難として、MT教習希望者の受け入れを停止する

 筆者の住む地域の教習所6件(千葉県内4件、都内2件)に電話で問い合わせたところ、もっとも多かったのが2番の対応で5件、1番は1件、一方で3番はゼロでした。ただ、ネットで調べると地方の教習所については3番の対応をするところも散見され、地域によってはMT免許の取得が難しくなる場所もあるようです。

 そこで改変前に滑り込みでMT免許を取得しようと教習希望者が殺到しているところもあるようで、このたびの教習課程の改変には大いに問題ありと言わざるを得ません。

 国は今回の教習課程の改変に当たって「AT車普及の実情に合わせた制度変更」と説明していますが、その裏には「AT限定免許」から「限定」の文字を取り去り、普通自動車免許のスタンダードとすることで「基本はAT免許で、専門的に必要とする人間のみにMT免許を交付する」という流れに持っていきたい、との意図が透けて見えます。将来的には「AT免許」と「MT免許」を完全に独立させ、AT車主体に統一することで法律や交通行政の合理化を図りたいのでしょう。

 いずれにしても、今回の教習課程の改変によって、ますます「MT免許」は取りにくいものとなり、取得者の数はますます減ることだけは間違いないようです。

【画像】2025年4月1日以降クルマに貼る“必要のない”ステッカーです

Writer:

「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に

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コメント

1件のコメント

  1. でも、就職時にAT免許だと営業車運転できないから、職種選択に制限されるのでは?

    営業車が全部ATに変わっているとは思えない。軽なんかは特に