ナニこの「ぶっといタイヤ!?」 ライバルびっくり「スズキ・バンバン」の伝説 “バンバンっぽい”バイクが続出!?

1960年代後半にホンダがリリースしたモンキー、ダックスといったレジャーバイクは当時のアメリカで絶大な評価を受け、日本でも1970年代初頭より一大レジャーバイクブームを巻き起こします。そこでスズキがリリースしたのが「バンバン」です。

「バンバンっぽい」バイクが続々登場 近年まで継承されたそのDNA

 ただし、以降バンバンシリーズの新モデルは登場することなく、レジャーバイクブームの終焉と共に姿を消しました。一方、最大の持ち味だった悪路でもバンバン走れる「ぶっといタイヤ」の走破性のニーズが全くなくなったわけではなく、1980年代にも「なんとなくバンバンっぽい」バイクがヤマハ、ホンダから続々と登場します。

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全てはこの1台から始まった。1971年リリースのバンバン90(画像:スズキ)。

 まず、ヤマハが1985(昭和60)年にリリースしたのがBW80、BW200、BW350というモデル。バンバンのようなぶっといタイヤを履いていました。日本では1年限りの販売だった一方、アメリカでは1989(平成元)年まで生産され続け、相応のニーズがあったことが伺えます。

 また、ホンダは1986(昭和61)年にファットキャット(TR200)という、ヤマハのBWシリーズにもよく似たモデルを発売します。その名を直訳すれば「デブ猫」となります。

 こちらもまたバンバンのようなレクタングルタイヤを履いたモデルで、今見てもなかなかカッコ良いのですが、基本はアメリカ市場での販売。日本にも逆輸入のカタチで保安部品をつけたモデルが一部販売されましたが、販売期間がたった2年だったこともあり、その個体数は圧倒的に少なく入手困難な1台となっています。

 また、ヤマハは1987(昭和62)年に後輪幅を180mmにしたTW200というモデルを発売。今見れば、アメリカでは相応のニーズがあったBWシリーズを「日本市場向け」に改善したようなバイクでした。発売当初こそ注目度が低かったものの1990年代爆発的な人気となり、一大ストリートカスタムブームを巻き起こすに至りました。

 こういった「ぶっといタイヤのバイク」の礎を築いたのがバンバンシリーズと見る向きも多かったことからか、スズキではTW200にも似た「後輪のみぶっといタイヤにした」バンバン200というモデルを発売。複数回のモデルチェンジをしながら2017(平成29)年の生産終了まで15年間にわたって販売され続けました。

 また、2023年の「ジャパンモビリティショー2023」のヤマハブースには前述のTW200をベースにしたハイブリッド3輪駆動モデル、TMWが登場。やはり「ぶっといタイヤ」を履いた1台で、大いに注目を浴びました。市販化が待ち通しいです。

 ここまでの通り、初期のバンバンシリーズはわずか数年で姿を消した一方、その影響が他社のバイクにも及び、また近年までそのDNAが継承され続けたように筆者には映ります。それが正しければ、1970年代前後のスズキがバンバンシリーズにかけた開発は実に偉大だったと言って良いでしょう。

 自由で楽しく、ある面での実用性にスコブル長けていた初期のバンバンシリーズ。これまで以上の評価を受けて良いとも思うスズキの名車中の名車のように感じます。

【DNAを引き継ぐものも…!】スズキがリリースした伝説のぶっといタイヤをのバイクを写真で(画像)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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