ガンダム世界が「爆速&爆火力の無敵の機体」なぜ増えず? 「スペックそこそこでOK」化する納得のワケ

ガンダム世界ではたまにやたら高機動・高火力を持ったMSの付属兵器が登場し、MSがMAのような性能を持つときがあります。それは果たして意味があるのでしょうか?

結局近接戦闘が必須になるガンダム世界

 実際にどう不利か、検証します。「デンドロビウム」のセンサー有効半径が不明なので、先述した「エルメス」と同じ24万5000mとします。この距離は、現実の人類が持つ最速の乗りものである、秒速10.9kmの「アポロ宇宙船」だと2.2秒で到達してしまいます。つまり「敵とかけ離れた超高速」で接近しても、射撃時間はほんのわずかしか取れず、白兵戦を挑むのも困難ということです。

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基本的に誘導兵器の能力が制限されるので接近するほかないのだ!(イラストレーター:ハムシマ)

 現実世界でも、第二次世界大戦の現状で世界唯一の実戦投入されたドイツのロケット戦闘機であるMe163「コメート」が「接敵できても、敵機との相対速度差があまりにも大きいため射撃しにくい」と評されたことがあります。

「デンドロビウム」に関しても、同機同様、ほかの機体よりも速度が速すぎるため、射撃時間を増やすには、速度を落として大推力を捨てるか、敵MSのいそうな辺りを予想し、ミノフスキー粒子下では、ほぼ誘導しないミサイルを大量に打ち込むしかありません。どちらも、かなり効率の悪い戦いになりそうです。

 なお、「誘導しないミサイル(ロケット弾)を大量に打ち込む」という案はMe163の実質的な後継機であるBa349「ナッター」で検討されたことがありますが、実戦投入される前にドイツ軍は敗戦しています。

 また、高推力スラスターや高出力ジェネレーターが高熱を発するのも問題になり得ます。シャア・アズナブルの赤い「ザクII」が「通常の3倍の速度」で接近するのがわかるなど、宇宙世紀でも高熱源体は比較的遠距離で感知できます。

「デンドロビウム」のジェネレーター出力は3万8900kw、推力は226万5000kg、「ガンダムMk-II」は1930kw、8万1200kgですから、それぞれ20倍、28倍も「デンドロビウム」が上です。

 逆に言えば20~28倍もセンサーで発見されやすいということにもなります。実際、ソロモン要塞を発進したMA「ビグ・ザム」は、地球連邦軍ティアンム艦隊に遠方から探知され、宇宙艦隊からの遠距離ビームがほぼ全弾命中しています。センサーが探知できたら、艦艇より小さいMAでも戦艦主砲が当てられるということです。ビームバリアがなければ一瞬で撃墜されていたに違いありません。

 つまり「ガンダムMk-II」と「デンドロビウム」が戦ったとして、その巨大熱量によってセンサー有効範囲外から「ガンダムMk-II」は、「デンドロビウム」の接近を先に探知し、進行方向にパズーカの砲弾を発射できます。「デンドロビウム」は、速度を落とさなければ射撃センサーが有効に使えず、しかし単純に速度を落とすだけでは、懐に入りこまれ白兵戦を挑まれます。こうなると、コストが高くて使いにくい欠点が際立つのでしょう。

 なお基本形の「高機動型」「高火力型」にエースやニュータイプ用が多いのは「必要ない時はスラスターを切って、慣性機動を混ぜる」「多数の武器で混乱せず、センサーに頼らずとも当てられる(熟練者の勘やニュータイプ能力で)」といった、一般兵には難しい戦術判断ができるから、そうした派生機が用意されていると考えられます。

 開発・生産コスト、さらに維持費などを含めても、同じラインで部品が共有できる派生機の方が圧倒的に使い易いことは間違いありません。そう考えると一騎当千のスーパー高機動・高火力兵器を少数生産するよりは、ワンオフほどまでいかない熟練者向け派生機体を増やした方が戦闘では有効ということで、劇中描写となっているのだと思われます。

【当たらないなら無誘導弾ばら撒け!】現実でやっちまった戦闘機です(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

3件のコメント

  1. ニ●ニコ大百科や各種Wikiサイトでも似たような考察は取り扱っているし、最悪個人サイトやブログでも十分な内容。これをわざわざ乗り物ニュースのような媒体で取り扱う必要があるのか?本来フィクションではなく現実世界の乗り物を専門に扱うニュースサイトにおいて、公式からの真新しい情報もない、ガンダムファンの考察ブログ程度の記事をよくもぬけぬけと定期的に載せられるなと感じる。

  2. F-35AライトニングIIが13.290kgしかなかったり

    24万5000mを秒速10.9kmで行くのに2.2秒しかかからなかったり

    楽なお仕事してますね(^_^;)

  3. 考察するのは個人の勝手ですが、お金貰って書くならちゃんと調べて勉強しましょうね。

    ツッコミどころが多すぎて何書いていいか分かりませんが、書くなら宇宙世紀は全部見たほうがいいですよ。

    ゾロアットとエルメス比べたり、0083の試作機達の性能を簡単に他と比べる話はしないと思います。

    あと算数は苦手な様なので推量とかの話やめといたほうがいいと思います。

    245÷10.9はそこまで難しくないとは思うので頑張ってください。