なぜ戦闘機のエンジンノズルは穴の大きさが変わるんですか? 旅客機は固定なのに…、意味あるのでしょうか
ジェット戦闘機のエンジンノズルが、飛行状態によって開いたり閉じたりするのはなぜなのでしょうか。それこそアイドリング時と離陸時では穴の大きさが違います。その一方で旅客機のジェットエンジンは変わりません。なぜなのでしょうか。
ノズルの穴が大きくなったり小さくなったり
航空祭の飛行展示機や、フライトゲーム「エースコンバット」などのプレイ画面を注視していると、ジェット戦闘機のエンジンノズルが、飛行状態によって開いたり閉じたりしていることに気づくかもしれません。

どの戦闘機も共通して、エンジンがアイドリング状態の時にはノズルが大きく開き、出力を上げていくと徐々に閉じていきます。加えて、アフターバーナーを使用すると、その際には再び大きく開くようになっています。ジェットエンジンのノズルは、一体なぜこのような複雑な動きをするのでしょうか。
まず、ジェットエンジンの基本的な原理を振り返ってみましょう。エンジン内部で圧縮された空気に燃料を混ぜて燃焼させ、その高温高圧の排気ガスを後方に噴出することで、前方への推力を得るというシンプルなものです。しかし、エンジンの出力を効率的に制御し、最適な推力を得るためには、排気の速度と圧力の調整が不可欠となります。
ここで思い描いて欲しいのが水道の蛇口に取り付けたホースです。水を勢いよく放出したいとき、ホースの口を狭めると水流が加速し、遠くまで飛ぶと同時に反動が強くなるでしょう。ジェットエンジンもこれと同様で、ノズルを狭めることで排気ガスの流速が増し、推力が強化されます。
ただし、ホースの口を狭めるといずれ水流が止まってしまうように、エンジンノズルも狭めすぎることはできません。そのためエンジン出力に応じて最適なノズルの断面積を得ることが肝要です。このような機能を実現したノズルは「可変断面積ノズル」または「コンダイノズル」と呼ばれています。
さらに戦闘機のパフォーマンスを大きく左右するのが、アフターバーナーの使用です。アフターバーナーは、エンジンから排出される高温の排気ガスに追加の燃料を噴射・燃焼させ、劇的な推力の増加を図る装置です。しかし、アフターバーナーを使用する際、ノズルを狭めたままでは燃焼ガスの逆流が発生し、エンジンの安定した運転に悪影響を及ぼす危険性があります。このため、アフターバーナー作動時にはノズルを大きく開き、排気ガスを効率よく排出しているのです。
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