「伝説のドア」を備えた国鉄気動車がJRから引退した“裏事情”とは? もうすぐ還暦 国内唯一の現役車両
車体外側に備えた「外吊りドア」がユニークな旧国鉄の気動車キハ30。その唯一の乗れる車両が、岡山県で健在です。“還暦”間近となったこの車両が、JR東日本から岡山のローカル鉄道にやってきたのには“裏の事情”がありました。
2025年の年明けに特別運行 国鉄キハ30
非電化の首都圏や近畿圏などの利用者が比較的多い路線を走るためにロングシートを配置し、1両あたり3か所の両開き扉に「外吊りドア」を備えたのが、国鉄時代の1961~66年に製造された気動車キハ35系です。うち両運転台の車両がキハ30で、国内唯一の1両が「セカンドライフ」を送っている岡山県の水島臨海鉄道(倉敷市~三菱自工前)で健在です。

2025年1月1~5日に実施された特別運行に訪れた筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は、この車両が2012年、千葉県のJR東日本久留里線(木更津~上総亀山)から退役した理由について元JR東日本役員から聞いたのを思い起こしました。それは古くなったことにとどまらない「切実な事情」でした。
特別運行日には三菱自工前14時39分発・倉敷市15時06分着の列車と、倉敷市を15時27分に出発して三菱自工前のひと駅手前の水島へ15時50分に到着する列車の2本が運行されました。うち1月1~3日はキハ30の単行運転となり、1月4、5両日は同じく久留里線で使われていたキハ37と連結した2両編成でした。
この日の定期列車では、3月末で運行を終了する三菱ガス化学の脱炭素材「エージレス」の柄を装飾したラッピング車両も走っていました。
水島臨海鉄道が運行する「キハ30-100」(定員128人)は、日本車輌製造が1966年に生産。神奈川のJR相模線(橋本~茅ケ崎)などを経て久留里線で2012年まで走った後、水島臨海鉄道へ移籍しました。
塗装は国鉄時代のクリームと朱色のツートンカラーで、久留里線時代の2009年に復元されました。先頭の方向幕部分に張りつけたステッカーはかつての「久留里線 JR」でしたが、水島臨海鉄道に移った後は「水島臨海」へ変更されています。
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