135年の歴史に幕「渡し船銀座」から消える航路 車で乗ってわかった「替えが利かない」役割

広島県尾道市の「尾道水道」を交う渡船のひとつ「福本渡船」が、2025年3月31日で廃止されます。昭和な愛車で昭和に竣工された船に乗る体験をすべく現地へ向かいました。尾道の渡船の実情にも迫ります。

その歴史は「200年以上」!?

「兼吉渡し」こと尾道渡船は、江戸時代の寛政~文化期(1800年代前後)から歴史を刻む、尾道の渡船では最古の航路です。かつては地域の市区町村による公営、そして1984(昭和59)年の民間売却後は尾道渡船が運航していましたが、2021年に前述の駅前渡しとともに歌戸運航へ譲渡。さらに歌戸運航は、第三セクターの「おのみち渡し船」に社名を変え、現在に至っています。

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桟橋のすぐそばには、大林宣彦監督の作品「あした」で登場した「浜の待合所」のロケセットが移築されている。現在はバスの待合所として使用中(画像:遠藤イヅル)

 尾道渡船もクルマを運べますが、福本渡船のフェリーに比べると船はかなり小ぶり。ここでは1998年と2003年に尾道の石田造船でそれぞれ竣工した「第二歌戸丸」と「にゅうしまなみ」が運用されています。どちらも総トン数は19tです。この日は第二歌戸丸が使われており、最大搭載人員は車両積載時で37名・車両積載台数は4t積みトラック2台・乗用車6台と書かれていました。

 クルマを積み込むと、船はすぐさま対岸の兼吉桟橋へと出航。運行距離は300m、時間にして5分ほどですので、こちらもあっという間の到着です。兼吉桟橋の近くにもバス路線が通っていますが、本数は少なく、土日運休です。航路は福本渡船・駅前渡船よりもかなり東側に位置しますが、利用客はそれなりに多く、旧向島町の中心町域東側の住民にとって大切な足となっているようです。

 運賃は大人100円・子ども50円、自転車10円・バイク10円なのは駅前渡船と同じ。クルマを運ぶ場合は4m未満120円、5m未満なら130円(運転者1名分の旅客運賃込み)で、こちらも支払いは現金のみです。

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