「既存モデルと逆の翼構成」の異形民間機たち、なぜとん挫? “超大手”が設計の攻めすぎた新型機とは

双発ビジネス機「スターシップ」と、ボーイングが構想した旅客機「ソニッククルーザー」はともに共通したユニークな外形をもちながら商業的に成功しませんでした。なぜでしょうか。

ユニークな翼デザイン、なぜ浸透せず?

 しかし、先述のとおり、2機種とも商業的な成功とは程遠い結果に終わっています。

「スターシップ」はアルミ合金より軽くて強い複合材料を全面的に採用したものの、当時は複合材料自体が航空機に広く使われる前だったので、“材料費”はかえって高くついてしまいました。いわば、新技術を盛り込むのが早すぎたのです。

 対し「ソニッククルーザー」の開発発表は、ボーイングのライバルであるエアバスが、「ジャンボジェット」こと747シリーズより大型の旅客機「A380」を登場させようとしていた時代です。「ソニッククルーザー」は「大型化より高速化」のコンセプトを優先したもので、別の観点からライバルと差をつけようとしていました。

 しかし、巡航速度は、一般の旅客機がマッハ0.8なのに対しマッハ0.9と「少し速く」なっただけ。巡航高度も3万~4万フィート(約9150mから1万2120km)に対し、4万フィート以上といったように「少し高いところ」でした。

 このため、短距離路線では速度向上の効果を発揮しにくく、奇抜な姿は既存の空港施設で取り回しがしやすいかも航空会社は判断しかねたことから、同機は構想のみで消えてしまい、A380の登場も許してしまったのです。

「スターシップ」と「ソニッククルーザー」が成功しなかった理由はそれぞれですが、先尾翼と言う斬新なスタイルが訴求力にならなかったという点は似ています。2機が商業的な成功から程遠い結果に終わったのは、民間機市場では“見栄え”以上に、製作費などのコストや使い勝手が優先されるというのを示したものであると、筆者は考えています。

【写真】ナニコレ! これが「異形のビジネス機」驚愕の全貌です

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飛行機による旅行が好きで記事を書き始めた。海が好きで、羽田空港や成田空港へも時折撮影に出かける。

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