「日本一運賃が高い」の噂も返上へ!? 南海「泉北線」誕生の大きな“意味” 長年のライバルに差をつける

南海電鉄と泉北高速鉄道が合併し、「南海泉北線」が誕生。一連の融合策の総仕上げとなります。南海は「日本一運賃が高いと言わんとってな」と自虐ネタで値下げをアピールし、ライバルの地下鉄に対抗します。

「南海泉北線」はニュータウンを再生できるのか

 この間、政治的な論点となったのが、大阪府都市開発の株式売却問題です。2008年の大阪府知事選で当選した橋下 徹知事は、大阪府都市開発について府の持ち株49%分を売却する方針を打ち出します。

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「南海泉北線」のラッピングを付けた車両も行き来する。イメージキャラクター「せんぼくん」も存続決定(森口誠之撮影)

 その後、大阪維新の会設立、「大阪都構想」、泉北高速線の地下鉄直通構想、アメリカの投資ファンドに優先交渉権、地元の反対……と紆余曲折があり、2014年、府議会は南海電気鉄道に大阪府都市開発の株式を約750億円で売却する議案を可決しました。関西電力や大阪ガスなど民間保有分を除くと府の売却益は約367億円で、府はこれを積み立てて北大阪急行の箕面市延伸などの原資としました。

 この年の7月、南海は大阪府都市開発を100%子会社として、社名を泉北高速鉄道株式会社に変更しました。

 翌2015年3月より、泉北高速線と南海線との乗継割引額は、従来の20円から100円に変更されます。実質的に80円の値下げとなり、泉ケ丘~難波間の運賃は540円から460円となりました。12月から有料特急「泉北ライナー」の運行も始まりました。

 こうした施策が功を奏したのか、泉北高速線の乗車人員は2015年13.6万人、2019年13.4万人。何とか下げ止まった感もあります。そして一連の仕上げとなるのが、今年の南海と泉北高速の合併です。

 筆者が合併前の3月23日に現地を訪れると、「南海泉北線スタート」「日本一運賃が高いと言わんとってな」と書かれた垂れ幕が掲げられ、電車のラッピング、ヘッドマークも施されていました。車内の路線図は早くも「南海泉北線」となっていましたが、一部の駅名標や案内板に「泉北高速鉄道」の表記が残っていました。

 泉北ニュータウンの将来人口は2030年9万人とさらなる減少も予測されていますが、堺市は持続可能なまちづくりと人口増加に取り組み、南海も泉ケ丘駅前活性化計画など新たなプランを打ち出しています。4月から「南海泉北線」となることで、ニュータウンの新たな魅力の創造につながることを期待したいものです。

【スゲ…!】「南海泉北線」誕生による“値下げ率”(路線図/写真)

Writer:

1972年奈良県生まれ。大阪市立大学大学院経営学研究科前期博士課程修了。国内全鉄道と海外80ヶ国以上を旅しながら鉄道史や資料調査に没頭する。主な著書に『鉄道未成線を歩く 国鉄編』『同 私鉄編』、『開封!鉄道秘史 未成線の謎』など。

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