物流の人手不足は「インフラ投資が足りない」から! 大量輸送をもっと使え! 「民間に投げっぱなし」を変えるための“提言”【物流と鉄道“失われた30年”後編】
人手不足が深刻化し、貨物量自体は微減を続ける日本。これは政策の限界、さらには「インフラ投資の不足」としての結果という側面があります。3回の連載の仕上げとして、日本が次の時代を目指すうえでの政策と投資の方向性を提言します。
まずは「鉄道」と「港」をつなげよう
日本の鉄道や物流が“次の時代”を目指すうえで、政策や港湾配置の構造を変えることが抜本的には必要と思われますが、まずは、輸送単位が小さく人手がかかるトラック輸送を鉄道輸送に切り替えるモーダルシフトで労働生産性を上げることが考えられます。

モーダルシフトはもちろん国の対策でも謳われていますが、民間投資への“補助”に留まっていますので、ここにインフラ投資を行うのです。
前編・中編の記事でも触れましたが、日本だけが大量輸送機関の船(港)と鉄道の接続が切れており、ボトルネックになっています。欧米のインターモーダルでは船から鉄道といったモード間の結節で大量の貨物を徹底した省人化設備で繋いでいます。こうした「Sea & Rail」インフラに投資すると、最も効率よく輸送の労働生産性を高められると考えられます。
具体的にはコンテナの集積港に鉄道貨車への積み込み施設を設け、ショートドレージ(短距離のコンテナ陸上輸送)を解消する「オンドックレール」を設置し、後背地への輸送を鉄道に切り替えることが考えられます。
現在は全国に分散している国際コンテナ港湾が、もし集約していけば、オンドックレールの重要度はさらに高まります。固定費率が高い鉄道輸送は貨物量が増えるほど生産性が上がるので、鉄道に貨物を集中させることで全体の輸送コストを下げつつ、人手不足を解消できるはずです。
また、中国の陸港や欧米のコンテナ駅では輸出入の通関が行え、コンテナメンテナンスの設備もあります。空になったコンテナの回送先を港から内陸のコンテナ駅にして距離を短縮することも考えられます。こうして港で止まっているコンテナ革命を内陸に延長していくことで労働生産性を上げていくのです。
いずれにしても、物流全体で労働生産性を上げるインフラに投資し資本をふやさなければ労働者は多く必要なままで、人手不足は根本的に解決しないし、物流コストは下がらないことになります。実は港と鉄道の結節は実は新しいことでもなんでもなく、明治時代、日本の鉄道は港と港、港から都市をつなぐことを目的として建設されました。先人の知恵により、日本の鉄道網はそもそも港と効率よく繋がるようにできているのです。
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