「川の土砂を鉄道で運べないか?」運休続く大井川鐵道の苦境 止まらぬ“出血”抑えるウルトラCはあるのか!?

静岡県内で大井川鐡道の講演会が開催。鳥塚 亮社長が登壇し、被災した大鐵の現状を語るとともに、パネルディスカッションでは興味深い問答も多く飛び交いました。

大井川の堆積土砂を鉄道で運べないか?

 全線復旧を目指すうえで地域にも動いてもらうことが重要としつつ、後半のパネルディスカッションでは、興味深い質問も多く飛び交いました。

「被災した線路に溜まった土砂を地域住民の手で少しでも掘り出すようなデモンストレーションはできないか」という質問に対しては、法面などは私有地であり勝手に着手することはできないということ、また、安全な手順を作ることや、怪我をした時にどうするのか、といった現実的な課題をクリアする必要があると前置きをしつつも、「力を貸していただけるのであれば、これほどありがたいことはない」と実現の可能性も示唆。

 また、「大井川の堆積土砂は日々トラックで搬出しており、道路も傷む。大井川鐵道で運ぶことなどはできないか」という質問には、「考えられないことではないと思う。観光はどうしても波がある。モーダルシフトというのは世の中の流れであり、月曜から金曜は貨物で稼いで、土日は観光で収入を得るという形もありだとは思う」という回答がありました。

 現在、大井川鐵道では様々な企画が進行しています。2025年度のトーマス号は4月26日から運行を開始しますが、今年度は家山駅で久しぶりにパーシーと並びます。これは千頭駅に取り残されていたトーマスシリーズのうち、パーシーを家山駅に運んだことから実現するもの。仲間と顔を合わせたシーンは子どもたちにとって良い思い出となることでしょう。

 また、E31形電気機関車のE34は、国鉄のEF65形をイメージした青とクリーム色の塗装となり、3月30日からSLの後部補機として運転が始まりました。新たな塗装機の活躍はもちろん、東海道本線に隣接する金谷駅に、国鉄の特急色を模した塗装の電気機関車が姿を見せるということにも期待値が上がります。

「今の時代の観光は『推し活』、お気に入りになれば何度も訪れてくれる。観光はファンをつくること」と語った鳥塚社長。今後、どんな企画が登場するのか楽しみであると同時に、私たち愛好家も気になるものがあれば積極的に訪問していきたいところです。

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Writer:

幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。

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