東武の新車だけじゃない! まるで「リーゼント!?」な鉄道車両3選 なぜその形にしたの?
東武東上線への導入が決まった新型車両は、逆スラント形状と呼ばれるデザインが採用され、先頭部の上部が長く、逆に下部が奥まった形状です。鉄道車両では比較的珍しいデザインですが、同じような形状の車両を3つ紹介します。
千葉都市モノレール0形 逆スラント形状のメリットとは
千葉モノレールでは2012(平成24)年から0形という車両が運行されていますが、その先頭部は下に向けて斜めにカットされています。逆スラント形状ですが、これは空をイメージしたデザインで、「ウェッジライン」と呼ばれています。0形のカラーは青と黒のツートンですが、塗り分けも斜めにカットされたデザインです。
ちなみに、スラント形状の「スラント」は「斜め」を、ウェッジラインの「ウェッジ」は「くさび」や「V字形」を意味します。
千葉モノレールではサフェージュ式懸垂型モノレールが採用され、軌道桁から車両がぶら下がる形で走行しています。あたかも空を走っているような形態で、0形が「空をイメージしたデザイン」とされたのも理解されやすいことでしょう。
結果として車両が下から見られる機会が多くなるため、逆スラント形状とすることで、下から見ても先頭部が見やすい形になっています。これは0形に限らず、懸垂式モノレールでは逆スラント形状のようなデザインを採用した車両が多く見られます。
番外編 レール削正車
鉄道車両のほか、線路のメンテナンスに使用される保守用車でも逆スラント形状としたものがあります。ひとつの例として、スペノ製レール削正車RR16シリーズを挙げます。

これはスイス製の保線機械で、レールの頭部を砥石で削ることで、レールの状態を適正に回復させています。これは乗り心地の改善やレールの損傷の低減に寄与します。
シンプルなデザインですが、保線機械は線路のほう、つまり下を向いて作業することが多いため、機能としても逆スラント形状が優れているのかもしれません。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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