世界に2台だけ!「トヨタ2000GT」オープンカー 映画使用の“定説”覆る可能性も… 実見したら「違うんじゃない?」

ジェームズ・ボンドの活躍を描いた大ヒット映画『007』シリーズの中で、日本車として唯一ボンドカーに選ばれたのがトヨタ「2000GT」です。映画で用いたオープンカー仕様ですが、このクルマの出自や経歴には多くの謎が隠されています。

長身の主演俳優に合わせてオープンカーに改造

 撮影に使われたトヨタ「2000GT」は、市販化前ということで試作車が使用されることになりました。ところが、ボンド役のショーン・コネリーは188cmもの長身だったことからクーペボディの「2000GT」では狭すぎて乗れないことが撮影前に判明。そこで1966年秋に横浜市港北区の「トヨタ・スポーツ・コーナー(現・TRD)」綱島工場にて、急きょオープンカーに改造されています。

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シリーズ3作目の『007ゴールドフィンガー』以来、度々ボンドカーとなったアストンマーティン「DB5」。機関銃や可変ナンバープレート、スピナーなどの特殊装備を備えたのはこのモデルから。写真はボンドカーではなくノーマルの「DB5」(山崎 龍撮影)。

 作業期間はわずか2週間、突貫作業で改造され、グローブボックスに内蔵された携帯型VTR、座席後部の4インチテレビやテープレコーダー、マルチバンドラジオなどの特殊装備もこのときに備えられました。なお、これらの装備品はソニーが提供しています。オープンカーの必需品となる幌は備えられず、トノカバーのみが用意され、オープン化によって形状が変更されたフロントウィンドウは納期の関係からやむなくアクリルで製作されました。

 なお「2000GT」ボンドカーは撮影車と予備車の合計2台が製作されています。どちらも純正色のペガサスホワイトで塗装されましたが、撮影車はフロントウィンドウの上端がラウンドしているのに対し、予備車はこの部分がフラットな形状となっているほか、特殊装備にも若干の違いがあったようです。

 映画の撮影後、残されたトヨタ「2000GT」ボンドカーのうち撮影車とされる車体は、1966年の第13回東京モーターショーに出展されたあと、1967年に北米へ巡回展示に出されたのちに日本へ戻り、1968年5月より富士スピードウェイでマーシャルカーとして使用されます。そして、1970年代前半に再び日本を出て、1970年中盤にハワイにてメタリックブルーで塗装された姿で発見されました。それを1977年にトヨタが買い戻し、日本でレストアしたうえでトヨタ博物館の収蔵車となっています。

【あれ、変だぞ?】これ予備車じゃない? トヨタ博物館のトヨタ「2000GT」をジックリ見る(写真)

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コメント

1件のコメント

  1. 元々、トヨタ博物館のが「予備車」とされていたんだけど、自動車評論家の福野礼一郎が当時のプロモーション撮影会で撮影されたエンジンルーム内の溶接の痕がトヨタ博物館の車と25ヶ所以上も同じだと確認して、トヨタ博物館の車が「撮影車」だという記事を2008年のエフロードって雑誌にだしたんだよ。

    今更、フロントガラス云々とか言っても噴飯物w