世界に2台だけ!「トヨタ2000GT」オープンカー 映画使用の“定説”覆る可能性も… 実見したら「違うんじゃない?」

ジェームズ・ボンドの活躍を描いた大ヒット映画『007』シリーズの中で、日本車として唯一ボンドカーに選ばれたのがトヨタ「2000GT」です。映画で用いたオープンカー仕様ですが、このクルマの出自や経歴には多くの謎が隠されています。

世界各地で展示され、一時行方不明に……

 もう1台の予備車のほうは、特殊装備を提供した縁から完成間もない銀座ソニービルにて1966年末に展示されています。その後、ヨーロッパへと渡り、1967年のジュネーブショーを皮切りに欧州各地で開催されるモーターショーで巡回展示され、帰国後はトヨタ自動車販売東京本社(当時)に展示されたのですが、その後は長らく行方不明となっていました。しかし、2010年代後半に日本の好事家がレストアしたうえで大切に保管していることが明らかになりました。

Large 20250413 01

拡大画像

トヨタ博物館がトヨタ「2000GT」ボンドカーを出展した「コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025」は奈良市の薬師寺にて2025年3月15日(土)~3月16日(日)にかけて開催された(山崎 龍撮影)。

 ただし、トヨタ「2000GT」ボンドカーには謎が残ります。前述したとおり、現在有力な説ではトヨタ博物館が所蔵しているクルマが撮影車とされているのですが、筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)が最近見た車体において、その説にそぐわない状況が見て取れたからです。

 というのも、筆者は今年(2025年)3月15日(土)から翌16日(日)にかけて奈良市の薬師寺で開催された「コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025」にて、トヨタ博物館が展示した「2000GT」ボンドカーを改めて確認したのですが、フロントウィンドウは上端がフラットな形状となっており、その特徴は予備車のものでした。

 一方、2010年台後半に所在が明らかになった個人所有の「2000GT」ボンドカーは、従来は予備車と見られていたものの、上端がラウンドしたフロントウィンドウを備えていました。これは明らかに撮影車の特徴です。

「2000GT」ボンドカーの製造から60年近くが経過し、その間にも改造やレストアなどでオリジナルの部分が失われたこともあって、製作された2台のボンドカーのうち、どちらが撮影車でどちらが予備車なのかということは、製造元のトヨタであってもハッキリ断言することはできないようです。果たしてその真相はいかに。謎は深まるばかりです。

【あれ、変だぞ?】これ予備車じゃない? トヨタ博物館のトヨタ「2000GT」をジックリ見る(写真)

Writer:

「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 元々、トヨタ博物館のが「予備車」とされていたんだけど、自動車評論家の福野礼一郎が当時のプロモーション撮影会で撮影されたエンジンルーム内の溶接の痕がトヨタ博物館の車と25ヶ所以上も同じだと確認して、トヨタ博物館の車が「撮影車」だという記事を2008年のエフロードって雑誌にだしたんだよ。

    今更、フロントガラス云々とか言っても噴飯物w