プロペラ機なんて時代遅れでは…←いいえ!「スカイレイダー」の名を継ぐ2代目 米軍が運用スタート
米空軍でこのたび、プロペラ低速の対地攻撃機OA-1K「スカイレイダーII」の運用が始まりました。ただ、同機は農業用の民間機を改造したプロペラ駆動の軍用機です。低速でステルス性もないのに、なぜ米軍は使おうとしたのでしょうか。
元祖「スカイレイダー」が名機になったワケ
2025年2月27日、アメリカ空軍はある意味で異例とも言える新型攻撃機の命名式を行いました。その新型機の名はOA-1K「スカイレイダーII」。名前を聞けば、往年の名機A-1「スカイレイダー」を思い出す人も多いのではないでしょうか。

しかし、今回登場したこの機体は、見た目にも性能的にもハイテクとは程遠いものです。プロペラ機で、主翼は直線翼、尾輪式の固定脚なため、一見すると、むしろ「野暮ったさ」すら感じます。なぜ、このような機体が今の時代に必要とされたのでしょうか。
OA-1K「スカイレイダーII」は、速度300km/h台のプロペラ機です。ステルス戦闘機が空を支配するこの時代において、あまりにも時代遅れな印象を受けるかもしれません。ですが、これは単なるノスタルジーからA-1「スカイレイダー」の名前を襲名したわけではありません。
そもそも、A-1「スカイレイダー」は、第二次世界大戦末期に開発され、朝鮮戦争からベトナム戦争にかけて活躍した単発レシプロ攻撃機です。飛行速度はジェット機ほど出ませんが、逆に低速でも安定して飛行可能なため、爆弾投下時にはジェット機を上回る攻撃精度を実現しており、大量の爆弾を搭載できる能力、そして長時間の滞空が可能な点などと相まって、対地攻撃においては大きなアドバンテージとなり得たのです。
OA-1Kも、この「低速だからこそ多様なメリットを持つ」というコンセプトを引き継いでいます。現代の対テロ戦争やゲリラ掃討作戦においては、高速ジェット機が持つ「速度」は必ずしも利点ではありません。低速で目標上空に長時間留まり、リアルタイムで戦況を把握しながら柔軟に攻撃できる機体が求められる場合も少なくありません。
そのため、OA-1Kも出自は一般的な軍用機とは一線を画しています。原型はなんと農薬散布機です。アメリカの農業航空機メーカーが製造する汎用ターボプロップ機エア・トラクターAT-802Uを軍用に改造する形で誕生しています。
ゆえに、外見的には洗練されたジェット戦闘機とはほど遠いデザインで、冒頭に記したような見た目なのです。しかし、だからこそ低コスト化とメンテナンスの容易さも兼ね備えています。
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