「札幌~新千歳空港」鉄道とバスどっちが便利? 乗り比べてわかった“強み” どっちもインバウンド大盛況
札幌市と新千歳空港を結ぶアクセス方法にはJR北海道の快速「エアポート」や、北都交通・北海道中央バスの空港連絡バスがあります。乗り比べて使い勝手をチェックしました。
状況に応じてバスと鉄道を使い分けると便利
午後は空港連絡バス札幌都心線の各停便をチェックしました。乗車したのはANAクラウンプラザホテル札幌を14時50分(取材時)に発車する北都交通担当便です。
北都交通担当便で使用されるバスは、定員60名程度の車両が主力として使用されるとのこと。ただ、このとき筆者が乗車したのは定員が37人というタイプ。独特なシートの形状やモケットカラーから移籍車両だとわかります。また、バスの最前方1列分、4席は荷物置き場として使われており、大型荷物にも対応していました。
乗車時に運転手さんから「現在、空港まで2時間ほどかかりますよ」とアナウンスされました。取材当日は朝から雪が降ったり止んだりを繰り返す状況。路面にも積雪が見られて道路の混雑があらかじめ予想できたので、このように注意を促していたようです。
始発のANAクラウンプラザホテル前では筆者ひとりだけが乗車し、バスは定刻通りに出発。札幌駅前では大きな荷物を抱えた中国人観光客3名が乗り込んできました。運転手さんは到着が遅延することを丁寧に説明していましたが、言葉の壁もあり、なかなか伝わらず四苦八苦。乗務員への外国語教育や翻訳機の配備などが進められるといいのですが、なかなか難しそうです。
月寒通に出ると、札幌市電と並走するシーンも見られました。やがて、すすきの(南4西3)停留所に到着。ここで一気に10名ほどが乗車しました。そのなかには子ども連れの外国人観光客の姿も。すすきの一帯はJR札幌駅とは札幌市営地下鉄で3分ほどしか離れていません。しかし、大きな荷物を抱えた観光客にとっては地下鉄乗車前後の高低差のある移動は難儀することでしょう。バスが利用されるのも、もっともだと感じられました。
15時17分にすすきのを出発。この日の気温は1℃、湿度は71%。外は冷え込んでいるようですが、車内は空調が効いており、とても快適です。やがてバスは豊平川を渡り、地下鉄福住駅停留所では1名が乗車。ここまで来ると、札幌中心部に出るよりバスで空港へ向かう方がはるかに便利だと実感できます。三井アウトレットパーク入口停留所ではアジア系の女性2名が乗車。インバウンド観光客ではなさそうですが、買い物をして新千歳空港を経由して帰宅の途に着くようです。
北広島ICから道央道に入り、千歳ICで降りて道道77号を走行。車窓左手には南千歳駅が現れ、しばらくJR千歳線と並走して右折し、空港敷地内へと入っていきます。とはいえ、窓の外は一面降雪で真っ白で、飛行機の影すら見えません。結局バスは定刻から20分ほど遅れ、16時40分に終点へと到着しました。
今回、空港連絡バスと快速「エアポート」を比較して得られた結論としては、「時間に余裕があり、荷物が多く、座っていきたいならバスが便利」ということになります。またこの取材で改めて、現在のインバウンドによる混雑はかなり深刻な事態と理解できました。状況に応じてバスと鉄道を賢く使い分けることが、快適に空港へアクセスする秘訣といえるでしょう。
Writer: 水野二千翔(高円寺工房/モビリティライター)
レイルウェイライター種村直樹氏に憧れ鉄道・バスライターを志す。これまで「バスマガジン」や「Rail Magazine」で執筆。現在はモビリティ全般に興味を広げ、ドローンや空飛ぶクルマの記事も。国家資格「一等無人航空機操縦士」所持。近著に「ドローン3.0時代のビジネスハック」ほか。
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