日英伊の次世代戦闘機←南アジアの大国「仲間に入れて!」ロシア製戦闘機いっぱい持つ国の思惑とは?
日本がイギリスやイタリアと開発を進める次世代戦闘機GCAPにインドが関心を持っていると一部メディアが報じています。インドは第5世代戦闘機の独自開発を進行中ですが、GCAP参画の意図はどこにあるのでしょうか。
隣国パキスタンで最新戦闘機導入の動きが
実際、インドはすでにイギリスのロールス・ロイス社との間でAMCA搭載エンジンの共同開発に関する協議を進めている模様で、GCAPに直接参加しない場合でも、同計画で開発されるエンジン技術へのアクセスを通じて、AMCAにGCAPと共通のエンジンを搭載するというシナリオも現実味を帯びてきます。

インドがGCAPに正式参画するとなると、複雑な政治的・運用的調整が必須になるでしょう。長年にわたりロシア製兵器を中核に据えてきたインドの軍事体系は、日本、イギリス、イタリアという西側諸国による共同開発体制とは一線を画しており、価値観や運用思想の差異が共同作業の障害となる可能性は否定できません。そうなると、対等な立場でのプロジェクト参加は困難であろうことは明白です。
とはいえ、インドに残された時間は多くありません。中国はすでに第5世代戦闘機「J-20」や「J-35」の開発・配備を進めており、さらに宿敵パキスタンもステルス戦闘機の早期導入を模索しているとか。こうした地域の軍事環境を考慮すれば、インドがAMCAに並行して、より確実に配備可能な次世代機の確保を急ぐのは、あり得る選択肢だと考えられます。
これらを考慮すると、インドがGCAP機の完成型を一定数導入・配備するという選択肢も現実味を帯びてきます。
おそらく、インドは長期的にはAMCAを中核とした自主自立の道を堅持しつつも、直近の安全保障上の要請に応じる形で、より確実性の高い戦力を確保すべきという思惑から、GCAPへの参画を打診したのではないでしょうか。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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