ヘリ+飛行機=そのまんま!? 半世紀前に作られた「オスプレイ的な何か」の顛末

自衛隊も運用を始めた「オスプレイ」は、ヘリコプターのように垂直離着陸が可能で飛行機のように高速で移動できます。しかし、いまから半世紀以上前、イギリスで同様の乗りものが開発されていました。

テスト飛行は事故ゼロで良好 しかし開発中止に

 離陸後は、主翼で揚力を得てプロペラ2基の推進力で前進する一方、燃焼圧縮空気が噴射されていないローターは、オートジャイロのそれと同様に、前進時の前からの風を受けて回転し、補助の揚力を生み出す役を果たします。

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完成当初のフェアリー「ロートダイン」。無塗装だと試作機感が増す(画像:イギリス空軍博物館)。

 このように、見た目は飛行機とヘリコプターの合わせ技でしたが、構造的にはかなり独自性の強いものでした。

 乗員2名、乗客48名のロートダインは1機が試作されて、1957(昭和32)年11月6日に初飛行し、その後の試験で最高速度は約320km/hを発揮しました。しかも試験飛行で事故が生じたことは1度もなかったと伝えられます。

 このように、開発がスムーズに進んでほぼ実用段階に達していたロートダインでしたが、本機が試作されていた時期は、イギリス航空業界のメーカー再編や同国の経済的問題、政治的問題などで国内情勢がごたごたもしており、こうした影響から、1962(昭和37)年に本機の開発は中止となりました。

 一部では、燃焼圧縮空気の噴射音が騒音としてすさまじいうえ、コストパフォーマンスも固定翼機(飛行機)と比べて悪く、それらが開発中止の遠因になったと言われています。もちろん、その面も否めないでしょうが、前述したように開発中は技術上の大きな問題が生じていなかったため、一時はイギリス空軍が12機の発注も検討したことがありました。

 もしロートダインが量産されていたら、ヘリコプターとは異なる垂直離着陸機として活躍し、発展型の新モデルが登場するなどして「オスプレイ」以上に進化していたかもしれません。

【画像】「ロートダイン」前から見るとかなり異形です

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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