知られざる日本代表たち「士官候補生のオリンピック」ご存じか? 国の威信かけたガチ勝負 まもなくスタート!(後編)

「士官候補生のオリンピック」と呼ばれる国際的な交流競技会、「サンドハースト競技会」が2025年5月頭にアメリカで始まります。日本からは防衛大学校の学生が参加します。出国直前の彼らを取材してきました。

隙間時間に集まってひたすら練習の毎日

 日本人も多数参加しているのに、国内ではほとんど報じられることがない「サンドハースト競技会」。別名「士官候補生のオリンピック」とも呼ばれる同競技会が間もなくアメリカで始まります。

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「サンドハースト2025」に参加する日本チームの集合写真。男性10名、女性3名の計13名だ(画像:アメリカ陸軍士官学校)。

 これについて、前回は競技会の概要や参加する防衛大学校の編成など基本情報をお届けしましたが、今回はいよいよ密着取材した過酷な訓練の様子について触れてみましょう。「サンドハースト競技会」をご存知ない方は、ぜひ前編を読んでその過酷な競技内容をイメージしていただければと思います。

 基本的な訓練は日々の隙間時間を利用します。朝は始業前の6時10分から7時00分まで、昼は12時15分から12時45分まで、夕は課業後の16時30分から18時30分まで。そして休日は土曜日のみ! 私(たいらさおり:漫画家/デザイナー)なら泣いて逃げ出してしまいそうです。

 今回は夕方の訓練を取材しました。この日は負傷者の搬送訓練と、戦闘中に発生した負傷者を敵を撃退しつつ安全なところまで移動させる訓練が行われました。

 実際の競技では、最初に英語で書かれたミッションカードが配布されるので、競技が始まるまで、どのような状況が付与されるかは誰にもわかりません。今回の最初の訓練は、負傷者を川の対岸に搬送するというものでした。

 まず川に見立てた木の間にロープをピンと張り、その間に別の学生が負傷者を担架に固定します。受傷部位もその場で知らされるのですが、今回は腕と太ももを負傷したという想定で、当該箇所の止血などといった処置も施していきます。

 救護の知識も問われるため、あらゆる受傷を想定して知識と技術を叩き込むそう。負傷者の処置が終わったら速やかにロープをカラビナに通し、担架を一瞬で向こう岸へと渡していきます。このときロープの張りが甘いと負傷者が水に浸かってしまうため、的確なロープワークの技術も必要です。

 ちなみに、学生たちはこれらをゼロから覚えていくそうで、短い期間でどこまで習熟できるかが勝負の鍵だと教えてもらいました。

【マンガで解説】まもなく開催!「サンドハースト競技会」とは?

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