知られざる日本代表たち「士官候補生のオリンピック」ご存じか? 国の威信かけたガチ勝負 まもなくスタート!(後編)

「士官候補生のオリンピック」と呼ばれる国際的な交流競技会、「サンドハースト競技会」が2025年5月頭にアメリカで始まります。日本からは防衛大学校の学生が参加します。出国直前の彼らを取材してきました。

片付けも早すぎてビックリ

 方々から指示や報告が飛ぶなか、負傷者を無事に向こう岸へと送ってミッションは終了です。部外者からすると、ポカンと見ているうちにいつの間にかロープも綺麗に片付けられており、いつもの風景へと戻っていました。何が起きたんだ……。

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神奈川県横須賀市の小原台にある防衛大学校の入口(乗りものニュース編集部撮影)。

 ひとつ目の訓練が終わると、すぐに集まって反省会が行われます。チームは学年の違う学生で構成されますが、このときは下級生でも臆さず上級生に意見していました。上級生だけでなく多角的な視点で見直すことで、より精度が上がり結束力にもつながるのだとか。

 次は戦闘下における負傷者の救護。今度は実銃を模したゴム銃を片手に訓練します。ちなみにこの銃は模擬とはいえ約4kgという本物と同じくらいの重さがあり、実際は弾倉なども追加されるのでかなりの重量になります。

 銃を手にするということは、発砲の場面も想定されているというコト。敵前に残された味方の負傷者を救出・後送するために、まずは周囲を警戒しながら前進します。そのなかで、敵の攻勢にたいしては反撃しつつ、負傷者を助け出さねばなりません。さきほどよりスピーディーな判断力が必要になります。

 敵役の学生と応戦する学生に分かれ、忙しなく移動し身を隠しながらの銃撃戦が展開されます。銃声は「バンバンバン!」という発声やホイッスルで代用しながらも実戦さながらの迫力にこちらも心臓がバクバク。

 これまた、あちこちから飛び交う報告を瞬時にまとめながら負傷者の搬送に移ります。目が足りない…!「傷病者発見!」の声で、仲間が応戦しながら近づいていきます。今回は担架などもないため、受傷部位に応じて2人で運んだり1人で抱えたり、臨機応変な対応が求められます。

 仲間をいったん自陣に運んだら、今度は別動隊が敵を退けてしっかりと安全を確保していきます。ここまで数分というスピーディーさ。またしても何が起きたんだ……。

 このミッションも終了後に反省会が行われます。強風の中、日も落ちて寒さも増してきたなかで、真剣な表情でメモを取る学生の姿にこちらも寒さを忘れて熱くなってしまいました。

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