羽田衝突事故「最終報告前に法改正」なぜ? 負担増にパイロット困惑 新たな“義務”で本当に事故を減らせるのか?
2024年に発生したJAL機と海保機の羽田空港衝突事故。最終報告書が出る前に、国交省が法改正を実施しています。ここから日本の航空行政の課題点も透けて見えます。
海外メディアは一斉に報じた「あの装置を搭載していなかった」
羽田の事故を報じた海外メディアが最初に注目したことは、日本で最も混雑した空港において、海保機が「ADS-B」という装置を搭載していなかったという点です。
ADS-Bは自機の位置を周囲の航空機に緯度・経度情報とともに発信します。もし海保機がADS-Bを搭載していたら、JAL機は操縦席の画面上で海保機を確認できたでしょう。同時に、海保機がADS-B受信機を装備していたら滑走路に接近中のJAL機の機影を画面上でも確認できたでしょう。ちなみに、航空先進国ではADS-B未装備の機体は混雑空域に入ることができません。
このADS-Bは過密化する世界の空において安全性を確保するための切り札としてICAO(国際民間航空機関)が各国に採用と普及を呼びかけています。ただ、日本はICAOの理事国ですが、ADS-Bの普及に向けた計画を打ち出していません。そして、経過報告の中にはADS-Bに関する記述がないのです。
航空事故を本気で減らすには、パイロットに新たな負担を要求することではなく、世界で証明されている新しいシステムを導入し、負担を減らすことであると筆者は考えています。これについては、パイロット側だけではなく、航空管制のシステムにおいても同じことがいえるかもしれません。
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