なんか民間船みたいな雰囲気も… 輸送艦「にほんばれ」自衛艦ぽくない理由とは? 乗員たちの本音を聞いてみた

本格始動した自衛隊海上輸送群。その新部隊の目玉装備である輸送艦「にほんばれ」の艦内を取材してきました。外観の見た目は自衛艦ぽいですが、中に入ると民間船の趣きです。その理由を自衛官らが教えてくれました。

「自衛艦というよりは民間商船」なワケ

「にほんばれ」の速力は15ノット(約27.4km/h)以上で、乗員数は陸上自衛官を中心に約30名。艦尾側には糧食などを積み込むためのクレーンが搭載されています。なお、固有武装はありませんが、12.7mm重機関銃を設置するための銃架を装備しています。

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自衛隊海上輸送群司令の馬場公世1等陸佐(深水千翔撮影)。

 公表されている輸送性能は数百トンで、居住区前方の貨物甲板に車両十数両または20フィートコンテナ十数本程度の積載が可能です。

「砂浜に直接上陸するビーチング機能を持つことで、小さな島にも車両などを降ろすことができ、輸送力が向上していると感じた」(中谷防衛相)

 同艦の大きな特徴としては艦首にドアとランプが設けられていることです。車両を積載する際はビーチングや岸壁に頭付けをした状態でバウランプを下げ、艦首から直接、貨物甲板へアクセスできるようになっています。コンテナの荷役については接岸時に陸上のクレーンを使って行います。

 貨物甲板には車両やコンテナを係止する金具を掛けるクローバー・ホールが備えられています。側面には荒波に突っ込んだ際に速やかに排水できるよう、水抜き穴が設けられました。

 艦橋の中央前方にはジャイロレピータがあり、そこに当直士官が立って操艦を行います。右舷側にはECDIS(電子海図情報表示装置)やレーダーといった航海用の計器、中央には操舵装置、左舷側に機関の操作盤が置かれました。後ろ側には基本的に陸曹が並びます。

 艦内を案内した自衛官は「本艦の特性として、自衛艦というよりは民間商船がベースの構造となっていることがあげられる。当初は商船をベースに値段を抑えていると考えていたが、設計の段階で運用の構想が変わり、自衛艦になったという経緯がある。そのため『にほんばれ』には民間の機材が入っている」と話していました。

【画像】まんま民間船だわ…「にほんばれ」のブリッジなど艦内をイッキ見!

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