奇抜極めし「滑走路内に思いっきり公道横切る珍空港」なぜ?世界唯一の珍景実現の経緯とは

地中海の入り口にあるジブラルタルに、世界で唯一滑走路を車両や歩行者が横断しているという特殊な空港があります。なぜこのような奇抜なレイアウトとなっているのでしょうか。

空港の滑走路が公道を分断!

 そこで必要になるのが、イギリス国内とジブラルタルを素早く行き来するための軍民共用の飛行場でした。しかし前述したように平坦な土地はほとんどないというジブラルタルの地形が災いし、なんとか領域の一番北側に滑走路を設置したものの、そこを通っていたスペインとの国境につながる唯一の道路を分断する形になってしまいました。

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ジブラルタル空港を利用する旅客機(画像:ジブラルタル自治政府)

 そうなると生じるのが、市民の生活への影響です。耕作地などほとんどなく、食料自給率がゼロに近いジブラルタルは、生活物資などをスペインに多く依存しています。そこで、仕方なく、飛行機が離着陸しない時間は、滑走路を自動車や歩行者が横断してよいという特別ルールを設けた結果、現在のような奇妙な空港が誕生したのです。

 2025年現在、ジブラルタル空港は国際線3社、6路線が運航しています。離着陸はおおむね、朝10時くらいから午後3時くらいまで。チャーター便なども含めると、1日におよそ10回前後の飛行機の離着陸が行われています。そして、それ以外の時間は、滑走路は閉鎖され、その中央部を貫くようにジブラルタルとスペインを結ぶ道路「ウィンストン・チャーチル・アベニュー」が通行可能になっています。

 ただ、飛行機の離着陸が近づくと道路には踏み切りのように遮断機が下りてきて通行が規制されます。複数の警備員も配置されて非常に物々しい雰囲気です。さらに、人々の往来があるものの、「滑走路」です。ゴミなどの異物が航空事故の引き金となる可能性もあります。そのためわざわざ専門のスタッフにより、滑走路上にゴミなどの異物がないかなどの確認が行われ、問題がなければ飛行機が離着陸を行う、という流れになっていました。

【ホントに空港内に!?】滑走路と横断する形の公道(写真)

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