「やっぱ『グリペン』にする」北欧戦闘機なぜいま選ばれる? コスパだけじゃないその理由

北欧製の戦闘機「グリペン」が売れています。新戦闘機の導入計画を見直し、グリペンに鞍替えするような動きも。一体どのような戦闘機なのでしょうか。選ばれる理由は性能やコスパの高さだけではないようです。

今が追い風!世界を席捲か

 ポルトガル政府は新戦闘機にF-35Aを導入せず、代替案としてグリペンE/Fが候補に上がっていると、海外メディアで報じられています。

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グリペンEの実大モックアップ。多彩な兵装を搭載できる点もグリペンE/Fの長所の一つだ(竹内 修撮影)

 また、カナダは導入する新戦闘機88機のうち、既に契約済みの16機についてはF-35Aを導入するものの、残り72機については、選定コンペで時点だったグリペンE/Fに切り替えられないか検討しています。

 2022年にF-35A 36機の導入を決定したスイスでも、“どんでん返し”の可能性が出てきています。2025年3月から4月にかけて行われた世論調査で「F-35Aを導入して欲しくない」という意見が実に66%を占めており、この結果を受けてスイス政府はF-35Aの導入を見直すのではないかと海外メディアで報じられています。

 ポルトガル政府のF-35Aを導入しないという判断や、カナダ、スイスで起こっている導入見直しの背景には、ロシア寄りに見えるウクライナ侵攻の調停や、カナダとグリーンランドの領有を公言するドナルド・トランプ大統領への反感とアメリカへの不信感があります。

 仮にポルトガルやカナダ、スイスでグリペンE/Fが導入されれば、それはグリペンE/Fの能力や価格もさることながら、トランプ大統領の「アシスト」に拠るところも大きいのではないかと筆者は思います。

【グリペンで置き換え】南米の大国が世界で唯一運用する「激レア戦闘機」(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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