金持ち国家に強請っちゃえ!「新型エアフォースワン」に渦巻くトランプ大統領の功名心 かつての「スター大統領」への嫉妬もか?
アメリカのトランプ大統領が、中東カタールの王室からジャンボ機を受け取ろうとしていることが報じられました。日本円で600億円相当の「贈り物」を受け取ろうとする神経も疑われますが、その背後には彼の功名心も見え隠れします。
退任後のビックリ計画とは…
俳優出身のレーガン氏は停滞していたアメリカ経済のテコ入れを目指し、大幅減税や規制緩和などを柱とする経済政策「レーガノミクス」を推進したことで知られます。レーガン氏を顕彰した西部カリフォルニア州の「ロナルド・レーガン大統領図書館」には、彼が在任中に使用したボーイング707ベースの大統領専用機(退役済み)が展示されています。

すなわち、トランプ氏は大きさで上回る747-8型を手に入れて、将来的には自身を記念した図書館に展示し、「レーガン図書館を上回る大きさの大統領専用機」と喧伝する思惑なのでしょう。少なくとも、今の動きではその魂胆が透けて見えます。
しかしながら、大統領専用機は政権が代わっても引き継ぐのが通例です。レーガン図書館の機体も1973~2001年にレーガン氏を含めた7代の大統領に仕えた後に寄贈されました。他国から航空機を受け取る行為ももちろんですが、1代だけ使って退役させるのも非常識の極みと言えます。
さらに、カタールから航空機を受け取れば「スパイ活動に利用されかねない」との声が政府関係者からも出ています。筆者はトランプ氏が受領撤回に追い込まれると可能性が大きいと予想していますが、もしも受け取った場合にはアメリカ政治史の汚点としてトランプ氏は「黒歴史」に名を刻むことになるでしょう。
在任中に日本の首相だった故中曽根康弘氏とも良い関係を築いたレーガン氏は、愛嬌のある人柄で親しまれました。大統領在任中の1981年3月に首都ワシントンで銃撃された「レーガン大統領暗殺未遂事件」では、病院で手術を受ける前に担当外科医に対して「あなたたちが共和党員だと言ってくれ」とおどけて笑わせました。
この時、主に執刀したベンジャミン・アーロン医師は「きょうは全員が共和党員ですよ」と答えてレーガン氏を喜ばせました。手術は大成功に終わってレーガン氏は約3週間で職務に復帰しましたが、アーロン医師は実は民主党員でした。
ちなみに、2021年にアメリカの計100人弱の歴史家と伝記作家が回答した優れたアメリカ大統領のランキングで、レーガン氏は9位とトップテンに入っています。これに対し、トランプ氏は当時任期を終えていた集計対象の44人のうち41位と最底辺の一角に甘んじています。こうしたランキングでのふがいない結果も、野心家として知られるトランプ氏の功名心に火を付けているのでしょうか。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。
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