「縁起が悪い!」有名菓子との“攻めたコラボ“を展開したローカル線とは? 験担ぎのハズが思わぬ声

鉄道関連の名称と引っかけたダジャレは星の数ほどありますが、南九州のローカル線ではかつて有名菓子との「攻めているコラボ」が話題を呼びました。

験を担ぐも、「縁起が悪い…!」

 都城の吉都線が発着するプラットホームの駅名標には、吉都線がネスレ日本のチョコレート菓子「キットカット」と2018―19年に展開したキャンペーンのシールが“残り香”のように貼られていました。シールはだるまの絵の下に「~吉都(キット)願いかなう~ 縁起のよい吉都線」と記しています。

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都城の駅名標には、「キットカット」と2018―19年に展開したキャンペーンのシールが貼られていた(大塚圭一郎撮影)。

 これは、商品名の一部の読み方が路線名と同じ「キット」なのが縁となったコラボで、キットカットの響きが「きっと勝つ」に似ていることから受験生らの験を担ぐ狙いがありました。ラッピング列車が2018年12月25日―19年3月31日に運行され、派手なピンク色を施した車体には縁起が良いとされる梅、だるま、招き猫などのイラストもあしらいました。

 このキャンペーンは吉都線の存在を発信することで訪れる観光客の拡大も狙っていましたが、一方で「本数を『カット』するようなイメージをもたれないか」などと危惧し、縁起が悪いという声も一部聞かれました。

 吉都線は2023年度、1日1km当たり平均通過人員が402人とJR九州発足初年度の1987年度(1518人)の約4分の1に落ち込み、営業損益は4億2800万円の赤字に陥っています。苦戦しているのは確かです。

 ただ、吉都線の沿線自治体は1994年に「JR吉都線利用促進協議会」を設置し、利用拡大に向けた施策に粘り強く取り組んできました。「キットカット」との「攻めているコラボ」もその一環です。

 少子高齢化や過疎化を背景に道のりは険しいものの、利用者を増やすためのきっとかっ飛ばしたアイデアが生まれるだろうと期待しています。

【ド派手!】これが「縁起わるいな…」とも言われたコラボ列車です(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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コメント

1件のコメント

  1. JR九州本社の福岡人なら「きっと勝つと」で意味が通じるが他県人には通じなかったという。