ホンダ「ホライゾン」て何!? じつは傑作4WDの派生モデル 神奈川・藤沢が生んだ「百面相SUV」とは?
日本語では「相手先ブランド製造」と訳されるOEMは、日本だけでなく世界中の自動車メーカーで行われています。そのようなOEM車の中で1981~2002年まで製造されたいすゞ「ビッグホーン」ほど多くのメーカーに供給したSUVはないでしょう。
日本の知名度はイマイチだが世界的には知名度バツグン
初期モデルは全車貨物車という硬派な仕様で、おまけにまだSUVというジャンルが確立していないこともあって、実用性を重視した簡素な装備でした。ただ、乗用車らしい快適性を備えた三菱「パジェロ」が登場すると、これが裏目に出てしまいます。「パジェロに」顧客の多くを奪われてしまった結果、このジャンルの国内におけるパイオニアでありながら商業的には成功しませんでした。

その反省から1992年に登場した2代目では、これまでの実用性一辺倒なクルマ作りを改め、乗り心地や快適性、充実した装備もあって人気を回復。1990年代のクロカン4WDブームを背景に販売台数を伸ばしました。
これにより、先代に引き続き提携関係にあったスバルにもOEM供給されたほか、SUVの自社モデルを持っていなかったホンダにも「ホライゾン」の名前で供給したのです。
しかし、1990年代にいすゞが段階的に乗用車生産から撤退したことにより、最後まで残されていた「ビッグホーン」も2002年に惜しまれつつ生産を終了。それに伴い世界中に供給されていたOEMモデルも終焉を迎えました。
国内市場では些か地味な存在の「ビッグホーン」でしたが、これほど世界の人々から愛され、ワールドワイドにOEM供給されたSUVはほかに存在しないでしょう。
日本での知名度は低いが海外では有名人。例えるなら、二輪レーサーの故・加藤大二郎選手やメイクアップアーティストのスクリーミング・マッド・ジョージ氏、クエンティン・タランティーノ監督を熱狂させたアニメ監督の梅津泰臣氏のような存在。それが「ビッグホーン」だったのかもしれません。
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に
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